家事はきちんとしなくていい!?書籍『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』について考える
家事研究家の佐光紀子さんが昨年刊行した『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』(光文社)。その内容に対して、予備校講師でタレントとしても活躍中の林修さんが共感し、「“きちんと家事を!”なんて無視していい!」と持論を展開したことが話題となっています。
ご飯はきちんと作るもの、家事はきちんとこなすもの…といった考えにより、共働きの女性だけでなく専業主婦まで呪縛を感じているようです。日本における家事のあり方についていっしょに考えてみませんか?
日本における家事労働の状況とは?
出典:Amazon
『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』の中では、2009年にP&Gが行った日本と欧米各国の家事に関する比較調査が紹介されています。
それによると、“食器を1日に3回洗う”と答えた人の割合は、日本では55.5%と半数以上だったのに対し、イギリスでは27.3%、アメリカでは8.3%、スウェーデンは7.7%。日本はほかの国を大きく引き離し、断トツに多いことがわかりました。
また内閣府の資料でも、6歳未満の子どもを持つ女性が1日に家事や育児に費やす時間は、日本が7.41時間なのに対し、ドイツが6.11時間、アメリカが5.39時間、ノルウェーが5.26時間と、ここでも日本の女性がより長い時間を費やしているということがわかります。
手抜きできない!日本人は完璧主義?
アメリカ人は「家事はなるべくやりたくないもの。できれば外注したい」と思っている人が多いのに対して、日本人は「家事は家族でやるのが当たり前」という考えが深く根付いているため、手を抜くことにどうしても罪悪感を抱いてしまうそうです。
近年では専業主婦家庭が減少し、共働き家庭が増加しているという流れもあり、働きながら家事も完璧にこなすのはかなりハードルが高くなっていますよね。にもかかわらず、きちんとできていないと“いい加減なお母さん”“だらしない”“管理能力の低い妻”というレッテルを張られてしまうことも…。
そしてこれは働くママだけでなく、育児と家事の両方をこなしている専業主婦にもいえることではないでしょうか?
“きちんと朝ごはん”は政府の刷り込み!?
かつての日本で、農林水産省が“朝ごはんが大事”と提唱し、地方自治体なども“目覚ましごはんキャンペーン”を始めました。
主婦向けの雑誌では“理想の朝ごはん”などの特集が企画され、その結果“和食の朝ごはんをきちんと食べている家庭”=“きちんとした家庭”というイメージが定着してしまったのではないかというのが、佐光さんや林先生の見解です。
朝ごはんの内容が、子どもの学力に関わるという意見もありますが、実は朝も夜も外食の多いシンガポールは、学力が高いことでも知られています。必ずしも、日本で考えられているような“理想的な手作りの朝ごはん“が学力に直結しているとも断定できないのかもしれません。
家事の能力で女性が評価されしまう文化は、世界的に見ても日本くらいなのだそう。現在でも、“丁寧な暮らし”“手づくりの食卓”などの理想は多くの人を魅了していますが、現実的にはなかなか難しい場合もありますよね。
あまり、周りの目などを気にせずに、家事代行サービスやロボット掃除機などもどんどん利用し、“上手に手抜き”しながら適度な家事をこなしていけるといいですね。
家を常にキレイにしておきたい、3食おいしい食事を手作りしたい…など、ママとして家事を完璧に行いたいという気持ちもとてもよくわかりますが、この本を読むと、そのような気持ちが変わってくるかもしれません。
家族によっても、個人によっても異なる家事に対する考え方。これを機に家族で話し合ってみても良いかもしれませんね。
TOP PHOTO/Elena Elisseeva/shutterstock
参照/
YOMIURI ONLINE「家事のしすぎが夫婦の亀裂を生む」
リアルライブ「“朝ごはんが大事”は政府の呪縛?林修「家事はキチンとしなくていい」」
livedoorNEWS「「家事はきちんとしなくていい」林修先生の主張に賛同相次ぐ」
PRESIDENT ONLINE「「家事はきちんと」なんて無視してもいい」
mamaPRESS編集部
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