2015.04.07
飲み過ぎは体によくないって本当? 『牛乳』にまつわる裏事情
強い体を作る!骨を丈夫にする! 栄養たっぷりと言われている牛乳 実は飲み過ぎは禁物
「牛乳にはカルシウムがたくさん含まれているから、骨が強くなるよ!たくさん飲みなさい!」なんてよく言われますよね。事実、学校給食には欠かせない存在。健診などに行くと保健師さんからも、「子どもには牛乳をしっかり飲ませてね~」と栄養指導されます。
それが最近、『飲み過ぎると逆に体に良くない』という調査結果が出たそうです。牛乳礼賛は過去のもの?牛乳にまつわるメリット・デメリットに迫ります。
- ★牛乳摂取量が多い人は、少ない人と比べて寿命が短く、女性では骨折しやすいという調査結果が!
- ★「牛乳は体に悪い」と唱える専門家も多く、賛否両論分かれるテーマ
- ★大切なのは、自分の体質や体調と相談しながら、適量を摂取すること!
たくさん飲むほど体に悪い?栄養満点のはずの牛乳に落とし穴
昨年10月、イギリスの医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』(British Medical Journal/BMJ)に発表されたスウェーデン人を対象とした調査結果の中に、とても興味深いものが! 「牛乳の摂取量が多い人は、少ない人に比べて寿命が短く、女性においては骨折が多い」というのです。
この調査は、39~74歳の女性6万1000人を対象にした約20年間の観察記録と、45~79歳の男性4万5000人以上を対象にした11年間の観察記録に基づいたもので、論文によると、「牛乳の摂取量が多くなっても骨折の危険性は低下せず、むしろ死亡率の増加と関連する可能性がある」ということがわかったそうです。
他にもある!牛乳否定派の意見あれこれ
「牛乳は体に良くないから飲まないほうがいい」という『牛乳否定派』の専門家は意外に多く、本も多数出版されています。また、その理由も様々です。
- ●牛乳に含まれているタンパク質は仔牛向けで、人間には合わない(異種タンパク質である)
●牛乳に含まれるタンパク質の主要成分カゼインは体内に吸収、消化されにくく、花粉症やアトピーなどアレルギー体質を引き起こす原因となっている
- ●日本人には、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素の量が少ないため、お腹によくない → 牛乳を飲むとお腹をこわす人が多いのはこのため
- ●牛乳などの乳製品を含め、動物性食品の摂り過ぎが、インスリン様成長因子1というホルモンの過剰摂取に繋がり、発がんのリスクを高める
- ●牛乳に含まれるカルシウムが、かえって骨に含まれる体内のカルシウムを排出させてしまう
など…
結論!自分に合った適量を知ること
これまで唱えられてきたように、牛乳は栄養満点の素晴らしい食品!という意見、対して前述のような否定派意見、さらに否定派の考えに対して、「これらは科学的な根拠がない!本当に信頼できる研究結果ではない!」と酪農業界を筆頭に猛反発している声もまた挙がってきていて…
賛否両論が飛び交い、牛乳って体に良いの?悪いの?いったいどうすればいいの?と困ってしまいますよね。 そんな中、下記の結論を出している医学博士の意見を見つけました。
「飽食の時代に生きる私たちにとって、個人の食生活で、必要な牛乳の量は異なりますが、一般的には、1日コップ1杯から2杯までの牛乳が適量だと思います。」 (医学博士 大西睦子のそれって本当?食・医療・健康のナゾより引用)
やはり、いくら栄養価が高い食品だからといって、それだけをたくさん食べていればいいというものではありませんよね。ひじきやワカメなどの海藻、緑黄色野菜・小魚・大豆など、多くの食品をバランスよく摂取することが、強い体を作ることに繋がります。 牛乳を何杯も飲ませるよりも、いろいろな食材を少しずつ食べることが大切なんですね。
最近では、放射能や環境ホルモンが含まれているという話も気になりますので、信頼できる酪農家さんのものかどうかもポイントです。
諸説ありますが、お料理やお菓子作りでも使うことが多い牛乳。自分の体質と適量を知り、くれぐれも飲み過ぎには注意したいものです。
ちなみに我が家では、上の子に小さい頃牛乳アレルギーがあったこともあり、今でも牛乳はほとんど買いません。その分、他の食材をバランスよく摂ることを意識しています。 日本人の財産である和食を心がけていれば、牛乳に頼ることなく健康な体が作れるのかもしれませんね!
文/水谷 花楓
写真/loic490
参照/ AFPBB NEWS WORLD BIZ「牛乳の飲み過ぎは健康に悪い?スウェーデン研究」
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