2013.02.15
脳科学の視点で解説! 地頭をよくする育児法
元気が一番! と言いながらもやっぱり我が子には自分の考えをきちんと持った賢い人になってほしい…。子どもの能力を伸ばすために小さいうちからパパやママができることはないかしら? と考えるママが多いとのことで、mamaPRESS編集部がNPO人財育成研究所所長で脳育成士の川添 祥先生を直撃!
脳科学の視点から「賢い子どもの育て方」を教えていただきました。
「地頭」のいい子に育てるには次の3ポイントが重要!
「地頭」とは、知識の豊富さや受けてきた教育水準に関係なく、その人本来の頭の良さを表す言葉。社会に出てから求められるコミュニケーション能力や問題処理能力は、地頭の良さが関係しているといわれています。
――「賢く育つ」って、脳科学的にはどういうことですか?
「ズバリ〝脳神経細胞のつながり(シナプス)〟がたくさんできることです。これは、勉強ができるということだけでなく、手足や内臓を上手に働かせたり休ませたりすること、楽しい、嬉しい、がんばる、がっくり、焦るなどの〝情感〟をうまくコントロールできることも含まれます。
要するに、『頭』『体』『心』の3つのことを、バランス良く脳が役割を果たし、“できることが増えること”が“賢く育つ”ということなのです。3歳くらいまでに、さまざまな刺激を与えることで、シナプスがたくさん作られます。これらの回路を働かせ、脳の領域を広げて行くことが大事なんですよ。
よく、〝3歳で字が書ける〟〝小学校入学前から計算ができる〟といこうことで『頭がいい子だ!』と思われがちですが、脳科学の視点からいえばそうとは限りません。人より少し早めに知識を得たからといって、頭がいいことにはならないのです」
――では、脳科学の視点から言う、「頭がいい人」ってどういう人を指すんでしょう?
「知的能力が高い人のことですね。次のような能力が高い人が〝頭がいい〟人だと言えます。
①注意力、判断力、決断力、記憶力がある
②自己実現(自分のしたいことをすること)ができる
③問題解決能力が高い
④創造性に富んでいる
これは、能力や人間性にも優れ、運動能力が高く、健康を維持する能力も高いという意味です」
――子どもをそんな人に育てるために、小さいうちからできることはありますか?
「手の指を使う、体を動かす、感覚を鍛える、社会性を身につける、知能を伸ばすなどの〝脳力開発〟を、赤ちゃんのうちからまんべんなく行うことです。その中でも特に『前頭連合野』を鍛える働きかけが肝心。
『前頭連合野』というのは、複数の作業を同時にこなすときに司令塔のような役割を果たす部分で、脳の中で最も高度な働きをしています。この部分の発達は一番時間がかかり、出生直後から5歳くらいまでは急速に発達し、そのあとは徐々に完成されていくのです。」
――難しい言葉が出ました。でもその「前頭連合野」を鍛えるって具体的にどうしたら…。
「見る、聞く、触れるなど、目や耳、手だけでなく、体全体にさまざまな刺激を与えてあげましょう。特に、知的な発達の最初の段階である3歳くらいまでは、非常に大切な時期。このときにしっかり鍛えて基礎づくりをしておくことは、このあとの知的活動のために非常に重要なんですよ。」
――遊びで取り入れるなら、どんなものがいいですか?
「〝いないいないばあ〟ですね。『前頭連合野』は、一時的に記憶ができないとうまく考えることができません。例えば、ジュースを飲む場合、何を飲むかは前頭連合野が考えています。『ジュースを飲む』と決めたあと、飲み終えるまでは、そのことを覚えていなければなりません。この記憶のことをワーキング・メモリー(作業記憶)といいます。姿が隠れたり現れたりする“いないいないばあ”はワーキング・メモリーを鍛えるのに最適なんです」
先生が、強調されていたのは、「脳は使うことによって働きができる」ということ。生後1ヶ月半を過ぎたら、親がいろんなものを見せたり、たくさん話しかけたり、歌を歌ってあげたりして、なるべくたくさんの刺激を与えたほうがよいそうです。また、褒めたり抱きしめてあげたりすることで愛情を示し、安心感を与えてあげることも大切なんですって。
賢く育てるには、早期教育が重要なイメージがありましたが、脳科学の視点でいえば、特別な教育は必要無いんですね。我が子とコミュニケーションやスキンシップを通じて、ぜひ今日から〝脳育〟を始めてみてください♪
(文 寺本忍)