2016.12.31
「お子さんの写真撮らせてください」に潜む危険とは?
少し前、『声かけ写真展』という企画が話題になりました。“ノスタルジー”“懐かしい文化”として紹介されていましたが、実際はとても危険が多いもので、多くの批判が寄せられています。
街中で「お子さんの写真を撮らせていただけませんか?」と声をかけられることも、あるかと思います。ママとしては、「うちの子、かわいいものね!」と、うれしい気持ちになってしまうこともありますよね。
そこで今回は、改めて“誰かに写真を撮られる”“誰かに写真を公開される”ことの危険について、考えてみたいと思います。
『声かけ写真展』ってなに?どうして話題になったの?
かつて“幼児も含めた、主に女の子に対し、街中で声をかけ、写真を撮らせてもらう”という“文化”があったのだそうです。『声かけ写真展』は、そうして撮られた写真を展示する、という企画です。
2016年の5月に第一回目が開催され、多くの批判をあびましたが、同2016年10月には第2回に向けた募金活動が行われていることが知られ、再び話題になりました。
批判は多々ありましたが、共通しているのは“被写体の子どもの権利を守ろう”“子どもを危険にさらしてはいけない”という2点でした。
写真を公開されている子どもたちは、自分の写真が公開され、販売までされていることを知らされていません。無許可販売です。またそれらの写真の中には、下着や水着姿の写されたもの、性的に見られる構図のものもあったそう。
第一回開催の地となった『IID 世田谷ものづくり学校』は後日、場所を貸すに際しての事前確認が甘かった、という点につき、謝罪文を出しています。
写真撮影に気をつける理由は“何に使われるかわからないから”
「お子さんの写真を撮らせてください」。その言葉が、どのような意識から出されたものなのかは、なかなか判断ができません。単純に「かわいい!」と思う気持ちからきているのかもしれませんし、性的な気持ちからきている可能性もあります。
撮られたのが、いわゆる“いかがわしい写真”に思われるものでなくとも、その画像を見る誰が、どんな性癖を持つのか、どのように使われるのかはわからないのです。のちにデータを加工されてしまう可能性もありますね。
信頼できる相手以外では、撮らせない前提でいるのが安心かもしれません。
インターネット上に流されたら、消すことは難しい
誰もが、簡単にインターネット環境にアクセスできるようになりました。撮影されたものが、デジタル情報としてインターネット上に流されてしまったら、その広まりをあとからコントロールするのは不可能です。
画像を見た人それぞれがPCに保存し、自由に使ったり、流通させたりもできるようになってしまいます。
男の子にもリスクはある
写真を撮られてしまう、利用されてしまうリスクというと、特に性的な意味で「女の子は気をつけなきゃ!」という印象を強く持つことかと思います。けれど、男の子にもリスクはあります。少年に対して欲求を持つ大人もいますし、小さいころは、男女の見分けがつかない場合もあります。
ショッピングセンターでのトイレ利用などに関しても、最近では“小学生の男の子でも危険な目にあうことがある”といわれることが増えました。子どもが男の子であっても、気をつけておきたいところです。
“子ども本人の意思確認”は難しい
街中で声をかけられたとき、子ども自身が撮影されることに納得し、同意したとしたらどうでしょうか。そのような場合でも、保護者としては“お断りする”のが賢明です。
子どもがもう少し大きくなって、今以上にさまざまな判断力・理解力が養われたとき、「あんな写真は撮られたくなかった」「公開されたくなかった」と感じられることがあるかもしれません。数年先の子どもにそのような苦しい思いをさせないためにも、慎重に考えましょう。
「うちのかわいい子どもの写真を見せたい・見てもらいたい」「『撮りたい』と言われればうれしく感じてしまう」というような気持ちは、筆者にもわかります。親なら誰だって、そんな風に考えてしまうものですが、子どもためにこそ、保護者は慎重である必要がありそうです。
PHOTO/BPI Multimedia
参照/
The Huffington Post「少女への『声かけ写真展』開催場所が謝罪 「アートという名の人権侵害」と批判高まる」
IID世田谷ものづくり学校「2016年5月4日〜8日開催された展示「声かけ写真展」につきまして【IID事務局】」
3、BuzzFeed『世田谷の「声かけ写真展」で少女写真を販売 主催者はアダルトサイト運営も』
佐原チハル
2013年、無痛分娩にて出産。ハニーと二人三脚、子育て奮闘中のフリーライターです。執筆内容は、コラム・書評・ゲームシナリオなど雑多。性や恋愛に関するユースワーカー業・書店...
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