2017.06.13
“待機児童ゼロ”3年先送りに…政府が打ち出した新対策『子育て安心プラン』とは?
認可保育施設に入れない待機児童を解消する時期について、安倍政権は現在の目標から3年遅らせて、2020年度末とする方針を明らかにしました。
また、新たな待機児童ゼロ対策として、『子育て安心プラン』という計画も打ち出しています。
『待機児童ゼロ』今年度達成は絶望的に
以前から問題視されていた待機児童問題。政府は2013年の時点で、「17年度末には待機児童ゼロを目指す」と目標期限を定めていましたが、今年4月の時点でも待機児童数が多く、達成は絶望的な状態です。
朝日新聞が、東京23区と昨年4月時点で待機児童が100人以上いた自治体を対象にした調査によると、回答のあった79市区町だけでも計1万4481人の待機児童がいることが分かっています。
ちなみに、この調査で待機児童数が最も多かったのは、昨年まで4年連続で待機児童数全国一の世田谷区で861人(前年比337人減)。次いで849人の岡山市(前年比120人増)でした。
ただ、自治体からの回答によって分かる待機児童数は氷山の一角ともいわれています。
というのも、“待機児童”カウントの定義が市区町村によって異なっていることがあり、例えば待機児童はゼロだが保護者が育休中でカウントされていないケースなど、実情と数字が伴っていない地域もあるんです。
今後は待機児童のカウント定義を全国で一致させる方針で、それにより数字上の待機児童数はさらに増える可能性もあります。
新たな待機児童ゼロ政策『子育て安心プラン』とは?
待機児童ゼロの目標期限を延長するにあたって、政府が打ち出したのが『子育て安心プラン』です。簡単にいうと、5年の間で計32万人分の待機児童の受け皿確保を目指すという計画です。
対象期間は2022年までの5年間。まず2020年に待機児童ゼロを達成するため、3年間で22万人の受け皿を整備。さらにそこから2年かけて10万人の受け皿を追加するのだそう。
この計画の背景には、女性の就業率の増加見込みもあげられます。2016年には約73%だった25~44歳の女性の就業率が2020年代半ばには80%に伸びると予想し、それに伴って保育施設の需要も伸びると見込んでの計画なのです。
計画の具体策は?
待機児童ゼロを目指す取り組みでは、多方面からのアプローチを策に盛り込んでいます。
例えば、先にご紹介したように保育の受け皿の整備です。具体的には、高騰する保育施設の賃借料補助や大規模マンションでの保育園の設置促進、小学校の空き教室などを活用した場合の支援の強化、現状で人員や施設面積に保育園が積極的に児童を受け入れるよう市区町村に促すことなどがあげられます。
そして、保育の多様化や保育人材の確保にも取り組んでいく方針です。例えば結婚や出産で離職してしまう保育士が、復職しても仕事と家庭を両立できるように、育児休業取得や短時間勤務を推進するなど、処遇改善を進めるのも対策のひとつです。
また、保育士らが自分の家などで子どもの世話をする『保育ママ』などの活用を推進する計画も盛り込まれています。
SNSでも話題に!
待機児童ゼロの達成目標が先送りになったことや、新しく打ち出された計画の内容に対し、SNSではさまざまな意見があがっています。
政府の施策だけでは解決が難しいことも?
保育園が出来るとなると近隣住民からの反対が起きる件については、お金で解決もアリだと思う。
— 猫柄のワンピース (@nekocatdress) 2017年6月2日
未来を担う子供を育てるのに〜とか正論を言っても埒があかない。隣接する家や、通学路になる家に感謝金的にまいておけばいい。待機児童を減らすのが最優先。#保育園に入りたい #子育て安心プラン
保育施設を増やすなど、以前から取り組みがなされてきた待機児童問題。しかし、自治体が保育施設を増やしたくても、近隣住人からの反対運動が起こり、施設整備が進まないといった問題もあり、なかなか計画通りとはいかないよう。問題はとても根深いです。
えっ…!?今さら新プラン?という意見も
官邸HPに「子育て安心プラン」掲載らしいですが、待機児童対策にあと3年のもかかる日本政府ってなんだろう。この問題は、今に始まったことではないのに、これからまだ3年って、なにをやっているのでしょう。女性活躍社会はどこにいったのでしょうか。#安倍晋三
— 浮世ノ傾奇者 (@KABUKIMONO51) 2017年6月5日
もともとは2017度末でゼロを目標にしていた待機児童数。しかし、去年の時点で2万3千人以上の待機児童がいることが分かっており、隠れ待機児童も含めると6万7千人以上にもなるといわれていました。しかし、今になって新プランの発表…。今度の動向が気になるところです。
待機児童だけが問題ではないのかも
女性が安心して活躍できる環境っていうから読んだら…長々と書いてるけど「待機児童解消」しか書かれていない。働き方改革は?育児支援は?パパの育児参加できる環境作りは?
— Kuro (@Sysuo) 2017年6月5日
子育て安心プラン:女性が安心して活躍できる環境を整備https://t.co/QTxs5at3Sn
女性の社会進出が推進されている一方で、仕事に家事に育児とママにばかり負担が増える状況も懸念されています。確かに待機児童がゼロになればママは働きやすくなりますが、果たして、それだけで女性が安心できる社会といえるのか? ちょっと考えてしまいますね。
財源のめどや、保育の質などの課題も山積みですが、いずれにしても待機児童が一日も早く解消されるよう、整備が進むことに期待したいですね!
PHOTO/santypan/ShutterStock
参照/
Yahoo!ニュース「「待機児童ゼロ」3年先送り 今年度末の達成は絶望的」
日本経済新聞「保育施設22万人分追加 政府、20年度末待機児童ゼロへ」
産経ニュース「待機児童ゼロ、首相が新計画 保育受け皿22万人整備「今度こそ終止符」」
厚生労働省「待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策について」
首相官邸ホームページ「待機児童対策~これからも、安心して子育てできる環境作りに取り組みます!」
首相官邸ホームページ「子育て安心プラン」
mamaPRESS編集部
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