2017.06.26
子育てにイライラ・クヨクヨしない!『エゴレジ力』を高めて子供の良さを引き出そう!
子育てをしていると、思い通りにならないことが多くてイライラしたり、落ち込んだりすることもありますよね。できれば、いつも明るく大らかな親でいたいと思うもの…。
今回は、女性の下着メーカーとして長年愛され続けている『ワコール』が開催したワークショップ『10歳キラキラ白書』に参加し、発達心理学者の小野寺敦子さんに、親と娘との関わりにおけるコツを聞いてきました。
前編では、女の子は、10歳までの親との関係性がいかに重要かをお伝えしました。後編では、女の子の親にも、男の子の親にも共通する、子育てにおける“イライラ”や“クヨクヨ”に立ち向かう力『エゴレジ力』についてお伝えします。この力を意識して高めるだけで、子供をのびのびと育てることができるかもしれません。
前編の記事はコチラ
子育てにイライラ…そのときどうしてる?
子育てで思い通りにいかないときに、子供の言動にイライラしたり、旦那さんやママ友のちょっとした言葉に落ち込んでしまったりすることはありませんか? 筆者も、ついイライラして子供にきつく言ってしまい、子供の寝顔を見ながら反省…なんてこともしばしば…。
小野寺さんによると、母親に限らず、そのような凹んだ気持ちにメゲてしまうと、「自分が悪い」と追い込むようになり、結果的に『うつ』になってしまう傾向があるんだそう…。ネガティブな気持ちをうまくコントロールするには『エゴレジ力』が必要だと言います。
高い人ほど、子供ものびのび!?ポジティブ心理学『エゴレジ力』とは?
小野寺さんが提唱する“エゴレジ”とは『エゴ・レジリエンス(自我弾力性)』の略で、ストレス状況に直面したときに、自分を抑制したり、解放したりすることで調整をはかることのできる能力、つまり、ストレスに対処する気持ちの調整力のことをいいます。
自分の思い通りに事が運ばないことの多い母親にとって、とても重要な力なのではないでしょうか。
小野寺さんの研究によると 、この『エゴレジ力』が高い母親は、自分の育児にも自信を持っていて、育児ストレスも少なく、子供に合わせて柔軟な養育態度をとることができるんだそう。
一方で、エゴレジ力の低い母親は、子供を、常に“落ち着きがなくじっとしているのが苦手”だと捉え、子供の規則正しい生活への配慮も低いことが報告されています。そして、このエゴレジ力は、意識することで、高めることもできるんだそうです。
あなたのエゴレジ力をチェック!
ワークショップでは、自分の現時点でのエゴレジ力をチェックさせてもらいました。それぞれ自分に関する質問に“1.全くあてはまらない”“2.あまりあてはまらない”“3.ややあてはまる”“4.全くあてはまらない”を振り分け、最後に足し合わせた点数が高ければ高いほど、エゴレジ力も高いという結果になります。
数分でできるチェックなので、ぜひご自分のエゴレジ力をチェックしてみてください。
『柔軟性』『好奇心』『立ち直り力』を鍛えてエゴレジ力を高めよう
Photo/hurricanehank/Shutterstock
小野寺さんは「『エゴレジリエンス』というの は、自己抑制と自己解放を調節してくれる力で、暑いと思ったら涼しくし、寒いなと思ったら暖かくして一定の温度に保つ “サーモスタット”のようなものだ」と言います。そして、これを高めるには『柔軟性』『好奇心』『立ち直り力』の3つを鍛えることが大事なんだそうです。
具体的にどのように高めていけばいいのかも、説明いただいたので、ご紹介します。
常に色んな角度で物事を考えることで“柔軟性”が高まる
柔軟性は同じ物事に対して、色んなやり方で試してみる癖をつけることで発想力が鍛えられ、高まります。例えば、同じ場所へ行くのに、毎回同じ道を歩くのではなく、「今日は景色がきれいなこの道を歩いてみよう」と、違う道を選んでみることも1つの方法。
子供に対しても、テストの点が悪かったときに、ただ「勉強しなさい」と言うだけでなく、どうすればいい点が取れるのか、いくつかやり方を一緒に考えてみるなど、常に色んな角度で物事を考える癖をつけることが大事です。
色んなことに興味を持って“好奇心”を刺激して
好奇心は、例えば、食べたことがないものを積極的に食べてみるようにするなど、新しいことに興味を持つ気持ちを大事にすることで高めることができます。親になり、ある程度の年齢になると、新しいことに挑戦することを面倒に感じることも多いかもしれませんが、臆せずにやってみることが大事なのですね。
子供に対しても、子供だけにやらせるのではなく、親も興味を持って一緒に調べたり、考えたりすることで子供のやる気や継続力アップにもつながります。
辛いときの気持ちの切り替え“立ち直り力”
立ち直り力は言い換えれば『気持ちの切り替え力』。まずは自分の“お気に入りのストレス対処法”を見つけることも大事なんだとか。
辛いことがあったときに、旦那さんに聞いてもらうとか、とりあえずたくさん寝る、とか、気晴らしに買い物をするなど、辛かったときにどう回復するか、自分なりの対処法をたくさん見つけておくことでメゲない心を育てることができます。
エゴレジ力の高い母親は、子供の良さを引き出すのも上手なんだそうです。最後に、小野寺さんは「日本人は子供を褒めるのが下手だと言われていますが、今日帰ったら、子供のいいところを2つは見つけて褒めてあげてください。」という言葉を投げかけ、ワークショップは終了しました。
エゴレジ力は大人だけでなく、子供にもあるもの。親のエゴレジ力が高く、ポジティブな声掛けができていると、子供にも自然と影響し、前向きでたくましく、エゴレジ力の高い子供になります。
家事に育児に仕事にと、忙しい毎日を送っていると、ネガティブな感情に支配されて、イライラした態度を周りにとってしまうこともあるかもしれませんが、エゴレジ力を意識して鍛えるようにして、イキイキと明るい母親になりたいものですね。ぜひ普段の生活に取り入れてみてくださいね!
【小野寺敦子先生プロフィール】
目白大学人間学部 心理カウンセリング学科 教授
東京都生まれ。1984年東京都立大学大学院博士課程修了。
心理学専攻、心理学博士。
現在、目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。
専門は発達心理学、家族心理学。
Top Photo/Yuganov Konstantin/Shutterstock
参照/
エゴレジ研究所ホームページ
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記事提供:ならいごとキッズ マガジン