高知の小学校で朝食会も開催！子どもが朝食をとる効果とは？

近年“子どもの朝食離れ”についてのニュースを目にする機会が増えました。朝食をとらないことで、栄養面だけでなく、家族で食卓を囲むことがなくなってしまうことも危惧されています。そんななか、学校で朝食会が開かれる動きもあります。

朝食を食べない子が増加中

出典：「早寝早起き朝ごはん」全国協議会

文部科学省は、『早寝早起き朝ごはん』運動を2006年から実施しています。しかし最近は、朝食を食べない子が増加していることが問題になっています。

文部科学省とスポーツ庁の調査によると、朝食を毎日食べている子どものほうが、学力調査の平均正答率や体力合計点が高い傾向にあります。朝ごはんを抜くと、脳がエネルギー不足になり集中力が下がります。また、お昼に“ドカ食い”して肥満につながるリスクも。

そこで、“子どもの貧困や家庭の事情の観点からも、学校で朝食を提供しよう”という動きが始まりつつあります。

高知県の公立小学校で朝食会が開催

高知市立第四小学校（全児童389人）では、月に一度、ごはんとみそ汁の朝食会が開催されています。早朝、地域の大学生などがボランティアで集まり、家庭科室で調理をします。

「飽食の時代だから、あえて質素な味わいを知ってほしい」という思いで、献立はごはんとみそ汁だけ。質素でも、みそ汁は出汁をしっかりとっているし、高知県でとれる旬の野菜を使用している贅沢な一杯です。

2014年12月より始まったこの朝食会の参加者は、毎回子どもと保護者ら30～60人。参加費は1回120円。「普段朝食を食べる子も食べない子も、会話をしながら朝食をとる楽しさを知ってほしい」という校長先生の狙いどおり、毎回参加を楽しみにしている子が多いのだとか。

食育の面からも、みんなで食べることでおなかも心も満たされるだけでなく、将来はごはんとみそ汁の作れる自立した大人になれることが期待できます。

福岡県の公立中学校でも朝食会の動き

福岡県のある公立中学校では、2015年度より週2回、調理室にてパンやバナナ・牛乳などを無料で提供しています。食品はフードバンクや地元生協などから提供され、校長先生や教頭先生・養護教諭が取り分けます。

「ごはんを食べていない子に、朝食をきちんととってほしい」という校長先生の願いから始まったこの活動。現在は毎回30～60人の生徒が利用しているそうです。

ニューヨーク市の公立学校では、全生徒が無料で朝食を食べられる

実は、公立学校が朝食を提供する活動は、アメリカでは以前から行われてきたことでした。

ニューヨーク市では、2003年から全生徒に無料で朝食を提供し始めました。そして2007年より、“カフェテリア”から“教室”で朝食を食べる動きが始まり、2016年では1,800の公立学校のうち400校近くで“教室朝食”が実施されています。

朝食会場をあえて教室にすることで、早く学校に来られない子も参加できるというメリットがあります。これにより、教室朝食への参加率が25％から80％になったそうです。

生活の苦しい家庭の子どもたちにとってみれば、朝食が無料や格安で提供されることはとても助かることだと思えます。また、みんなで食べることで、「食事って楽しい！」と気づく機会にもなります。

核家族で共働きが増えたことにより孤食が増え、さらに子どもの貧困が広がりつつある日本でも、今後はこうした取り組みが広がるかもしれませんね。

参照／ 早寝早起き朝ごはん　全国協議会
高知新聞「高知市の小学校で広がる“学校モーニング”」
朝日新聞「きちんと朝食、学校から　パンやバナナ週２回提供　福岡」
リンク・デ・ダイエット「教室プログラムで学校朝食参加者が増加」
ケアネット「ニューヨークの学校で「朝食提供プログラム」、肥満は増加せず」