2016.09.04
◯歳以降はやめさせたほうがいい?年齢別指しゃぶりの意味と対応法
赤ちゃんが指をしゃぶっている姿はかわいいものですが、いつもしゃぶっていたり、大きくなったのにいつまでもやめなかったりすると心配になりますよね。つい怖い顔で「やめなさい」と言ってしまったり、手を払ってしまった、なんて経験があるママも多いかもしれません。
歯並びへの影響などの情報を聞くと、早くやめさせなくては、と焦ってしまうかもしれませんが、一口に指しゃぶりといっても、年齢や場面により意味は変わってくるようです。そこで今回は、子どもの年齢別に、指しゃぶりへの対応のヒントをお伝えします。
指しゃぶりの意味
一口に指しゃぶりといっても、その時期によって意味も違ってきます。
乳児期
生後2~4か月では口のそばにきた指や物をとらえて無意識に吸い、5か月頃になると、なんでも口に持っていってしゃぶります。これらは目と手の協調運動の学習や、いろいろな物をしゃぶって形や味、性状を学習するという大切な意味があるようです。
物についているばい菌を気にしてせっかくの探索活動を取り上げてしまうのは、赤ちゃんの発達にとって、とてももったいないことです。ばい菌に慣れていくことも必要です。よほどの汚れや不潔な場所に置いたものでなければ、あまり神経質にならないようにしましょう。
幼児期前半(1~2歳の頃)
物を目で確認し、物の使い方に沿った扱い方ができてきます。この時期には、手を使った遊びが活発になり、手を使うようになると、昼間の指しゃぶりは減り、退屈なときや、眠いときにのみ見られるようになります。
幼児期後半(3歳~就学前まで)
母子分離ができ、子どもが家庭から外へ出て、友達と遊ぶようになると指しゃぶりは自然と減少します。5歳を過ぎると指しゃぶりはほとんどしなくなります。
幼児期の指しゃぶりには、不安や緊張を解消する効果があるといわれています。また、4~5歳になっても持続する場合は、単にクセが持続しているものや、背景に親子関係の問題や、遊ぶ時間が少ない、あるいは退屈するなどの生活環境が影響していると考える心理専門家もいるようです。
指しゃぶりの弊害
指しゃぶりは、幼児期の前半までは生理的な行動として、吸いすぎて指にタコが出きている、四六時中しゃぶっているなど、よほど重篤なケースを除いては心配する必要はありません。
では、幼児期の後半になっても、気が付けば指をしゃぶっている、または、指をしゃぶることにこだわっているようにみえるケースではどうでしょう。
歯並び、噛み合わせへの影響
しゃぶる指の種類やしゃぶり方にもよりますが、歯並びや噛み合わせに影響が出てくることがあります。
例えば、指しゃぶりによる噛み合わせの異常として代表的なものは、
(1)上の前歯が前方にでる。
(2)上下の前歯の間に隙間があく。
(3)上下の奥歯が横にずれて中心があわない。
などです。
このような噛み合わせの異常により、食べ物の飲み込みや、しゃべるときの舌の動きにクセが付くなどの影響が出ることがあります。また、舌を使う発音にも影響を与えたり(舌足らずな発音)、前歯や舌の影響で、口を閉めることが苦手になることで、口呼吸になり、健康に影響を与えることもあるようです。
母子関係への影響
あまりにママが気にして、「またしゃぶってる」「おかしいよ」など非難するように言ったり、しゃぶっている指をいきなり抜いてしまうような行為は、かえって指しゃぶりに固執させたり爪かみなどの他のクセを生んでしまう可能性があり、逆効果です。
初めは単なるクセの延長であったものが、周囲の反応により違う意味をもたせ、更に持続させてしまうことになるんです。
たとえば、指しゃぶりをしていれば、普段は忙しいママがすっとんできて、怒りながらも相手をしてくれる、と子どもは感じます。逆にママにとっては「忙しいのにわざと指しゃぶりをして怒らせるなんて!」 という気持ちになり、イライラしてしまう悪循環になってしまいます。
また、いけないとわかっていてもやめられない子どものなかには、トイレなどに隠れて指しゃぶりをするようになる子もいるようです。
このように、悪いことをしてママの気を引くという手段を覚えてしまったり、隠れてやれば怒られないと考えてしまったり、指しゃぶりが原因で大切な、人との関わり方の部分に影響を与えてしまうこともあります。
では、このようなことになる前に、どのような対応をしたらよいのでしょうか。
年齢別指しゃぶりの対応法
指しゃぶりへの対応は、個々の家庭の考え方、子どもの個性により変わってきますが、以下のことを参考にしてみてください。
幼児期前半(1~2歳まで)
退屈なときや眠いときに見られる指しゃぶりに関しては、神経質にならずに子どもの生活全体を温かく見守ってください。ただし、一日中頻繁にしている、吸い方が強いために指ダコができているなどの場合は、4~5歳になって習慣化させないために、一度子どもの生活を見直してみるのもよいかもしれません。
生活リズムが整っているか、何か過度に不安や緊張を感じることがないか、親子のスキンシップやゆっくりと甘えられる時間はあるのか、遊びは足りているのかなどを見直してみましょう。
幼児期後半(3歳~就学前まで)
この時期になると保育園、幼稚園で子ども同士の遊びなど社会性が発達するにつれて自然に減少することが多いようです。
しかし、なお頻繁な指しゃぶりが続く場合は、まずは家庭で、上記の子どもの生活の見直しとともに、どんな場面で指しゃぶりをするのかをよく観察してみてください。幼稚園、保育園場面での情報もあると更に良いでしょう。
よくあるのは、園での時間にはほとんど指しゃぶりはしないのに、家に帰るとたくさんするというパターンです。家庭でも、食事中やお絵かきやおままごと、ブロックやパズルなど夢中で遊んでいるとき、ママのお手伝いをしているときには指しゃぶりはせず、テレビやDVDを見ているとき、手持無沙汰でぼーっとしているときにしていることが多いようです。
もし指しゃぶりをしていたら、「またやってる!」としかるのではなく、自然とやめられるよう「お箸配ってくれる?」「ちょっと味見してくれる?」など、ちょっとしたお手伝いを頼んで、「ありがとう。助かったわ。」とほめてあげてください。そんなちょっとした工夫の積み重ねで、指しゃぶりの頻度や時間は徐々に減っていくかもしれません。
それでもまったく頻度が減らず、あるいは更に増えているような場合は、一度小児科医、小児歯科医、または臨床心理士に相談してみるのもよいでしょう。
子どもに悪い影響を与えるかもしれないクセを放ってはおけないですよね。でも、年齢によっては、子どもにとって必要であったり、やめられない理由があったりする場合もあります。指しゃぶりは突然しなくなることはなく、ほとんどの場合徐々に減り、気が付いたらしなくなっていることが多いようです。
ママが焦ってしまうと、子どもは敏感にキャッチします。今、指しゃぶりに悩んでいるママには難しいかもしれませんが、これも子育て時代の懐かしい思い出として振り返ることができる日が来ます。あまり神経質にならず、今しかできないスキンシップをたくさん楽しんでみてくださいね。