2017.04.10
子育て世帯を悩ます『転勤の壁』、制度を見直す企業が増加中!
転勤がきっかけで会社を辞めなくてはならない…。単身赴任でパパと離れ離れに…。そんな“転勤”が、働きながら子育てや介護をしている人にとって足かせになっているとして、制度を見直す企業が増えてきているのだそう。
転勤がある会社の場合、そこに勤めるパパやママにどんな問題が起こるのでしょうか? また、みなさん実際に転勤についてどう思っているのでしょうか? 声を集めてみました。
引越しを伴う転勤がある企業は61%も
ご自身を含め、みなさんの周りには転勤で引っ越しをする人がどれくらいいますか?
独立行政法人が行った調査によると、従業員300人以上の企業1,852社のうち、引っ越しを伴う転勤のある企業の割合は61%にものぼることがわかりました。さらに、転勤の期間や時期を定めていない企業は72%もあったのだとか。
もしも、ご主人やご自身に、転勤の辞令が下りたら…? そして、転勤先が引越しの必要があるほど遠い場所だったら…? その決断は、家族みんなの人生が変わる、大きな選択になるかもしれません。
子育て中の転勤 どんな問題が起こる?
では、もしも子育て世帯が、引越しを伴う転勤をすることになった場合、どんな問題があるのでしょうか? まとめてみました。
単身赴任orキャリアを捨てる?共働き夫婦の問題
共働き夫婦の場合、妻か夫が転勤することになったら、単身赴任をするか、どちらかが仕事を辞めるかの2つに選択肢が絞られます。
そして、どちらを選択した場合にも、問題が。単身赴任を選択すれば家族は離れ離れになってしまいますし、退職を選択すればこれまでのキャリアがなくなってしまうことに…。
もちろん世帯収入も激減してしまいますよね。休職を選択する方法もありますが、昇進や昇給に影響がでてしまう可能性も否めません…。
育児負担の問題
夫が転勤になると、妻の育児負担が増加する傾向にあります。転居先に頼れる人がいなかったり、夫が単身赴任で妻と子だけの時間が増えてしまったりするためです。
地域の子育て支援サービスをうまく活用できればいいのですが、妻1人で育児のほとんどをこなす孤独育児やワンオペ状態になってしまうことも少なくありません。
転勤を断ることもできるけれど…
企業によっては、転勤を断ることができたり、転勤のない職種を選択できたりする制度を設けていることもあるようです。
しかしこれは選択肢があるように見えて、断ると昇進の道が途絶えてしまうガラスの天井があるという声も…。反対に、転勤OKのスタンスを取れば、働くうえので配慮が得られなくなるのではないかと心配する声もあるんです。
世の中が少子対策や女性の活躍を推進する一方で、現実には多くの壁があります。“転勤の壁”もそのひとつ。仕事と家族、どちらかを選ぶならもう一方はあきらめなくてはいけない、なんて苦しい選択をしなくて済む方法はないものでしょうか。
SNSでも“転勤の壁”に不安の声が
目には見えない“転勤の壁”ですが、みなさんその障害をヒシヒシと感じているようです。SNSでも子育て世帯の転勤についてこんな声が上がっています。
また1人、総合職のバリキャリ女性が転勤の壁で退職を検討している。「遠距離なのわかってて結婚したんでしょ」「転勤リスクはみんな一緒」というけど、人生のタイミングや段階によって転勤の影響は全く異なる。50歳で子供も既に高校生とかの単身赴任と、30歳前後の妊活中の別居婚を一緒にするな。
— F.マトン@QOLを追求 (@F_mutton) 2017年3月17日
妊娠、出産、子育て、家族にとって大切な時期は、バリバリ仕事をしたい時期でもあります。そこに転勤という問題が加わるだけで、状況が一気に複雑に…。家庭をとるか、仕事をとるか、ツラい悩みです。
私自身は子供生まれても仕事続けたかったのと自分自身が転校ばっかりが嫌だったのと、引っ越し疲れとから、転勤がほぼないまたは融通がきく大手に絞って就活して、結婚相手にもそれを求めて転勤前提の職の人とはそもそも付き合わないようにした。
— はるこ (@haruharuko_haru) 2017年3月27日
子どもの頃から親の転勤を経験している人は、その苦労が身に染みているようです。自分の働き方や結婚相手の選び方にも影響を及ぼしたという声も見られました。
この方のように、転勤のリスクをよく知ったうえで自分の人生を選択するのも賢い生き方なのかもしれません。しかし、たいていは転勤の壁にぶつかって初めてその大変さに気付くもの…。「こんなことになるなんて…」と頭を抱えている人が多いのが現状です。
会社人事より制度変更の連絡。定年まで地域固定でゆるく働く代わりに給与減か、子供が中学卒業したら全国転勤有りの代わりに技術の仕事に戻れる可能性有のコース、どちらか選べ、基本変更不可と。腹の子が中学卒業するのが15年後、自分が50歳の時にどんな働き方を望んでるかなんてわかんないよー!
— 桐 (@bun13go) 2017年3月10日
子どもの年齢や、夫婦の働き方など、ライフステージによっても転勤のしやすさが変わります。「ずっとここで働きますか? 優遇される転勤族を選びますか?」と、初めに一生を決める選択を迫られても困ってしまいますよね。
会社にはその時々のライフスタイルに合った活躍の場を期待できないものでしょうか。
企業や国も“家族優先の方向”に変わっていく流れに
従業員は会社の命令に従うべきという考えがある一方で、育児や介護の問題などの背景から、従業員にも働き方の選択が必要だという声も多くあがっています。そこで現在は“会社優先から家族優先”の方向に変えていこうとする流れになりつつあります。
例えば、昇進や待遇を一緒にしたうえで、転勤する人には手当を上乗せするよう制度を整える会社も出てきました。また、従業員に転勤の有無と基本給を決めさせ、その選択による昇進・昇格での区別を行わないようにした会社もあります。そこでは働き方の変更も可能なのだそう。
厚生労働省でも研究会を開いて、雇用者に向けに、従業員を転勤させる際の注意点やポイントなどを指針としてまとめる方針です。
今後も制度を見直す企業が増えることに期待したいですね!
PHOTO/VGstockstudio/ShutterStock
参照/
産経ニュース「「転勤の壁」-制度見直す企業増加 子育て・介護の社員に配慮」
ORICON NEWS「家族優先へ「転勤」の指針策定…弁護士「長期の単身赴任が当たり前の現状は異常」」
mamaPRESS編集部
mamaPRESS編集部です!“「ママ」であることをもっと楽しみたい!輝きたい!”そんなママたちのために「ママ」が知りたい情報だけをお届けしています。mamaPRESSを読むことで、心に...
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