ちょっと待って！“葛根湯は妊娠中に飲んでも安全”説に要注意！

漢方として親しまれてきた『葛根湯』。薬局やドラッグストアで、医師の診断無しに購入できるので、飲まれたことのある人も多いのではないでしょうか。
この葛根湯、ネット上などでよく、“漢方だから妊娠中に飲んでも大丈夫”といわれているんです。筆者も妊娠中、風邪を引いたら葛根湯を飲もうと思っていました。

…ところが！“漢方だから安心”という認識は危険です。

葛根湯に含まれる『麻黄』に要注意！

葛根湯の何が危険なのでしょうか？
そもそも、漢方医学の基本的な考え方の1つとして、『三禁』という妊娠中は避けるべき3つの状態、“発汗”“下痢”“多尿”があります。

葛根湯に含まれる『麻黄』の主成分、エフェドリンには、“発汗”を促す作用があるのです。

風邪を治すために発汗が効果的ということで麻黄が含まれているわけですが、妊婦にとっては、“安心”とは言い切れないようです。

病院から処方される葛根湯なら安心？

とはいえ、妊娠中に風邪を引いて病院に行き、葛根湯を処方されたというママも多いのではないでしょうか。筆者もその経験があります。
ドラッグストアで購入した葛根湯ではなく、病院で処方された葛根湯なら安心なのかというと、そうとも言い切れません。

葛根湯の医療添付文書には、
“妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること” と記載されているそうです。

葛根湯に限らずですが、妊婦に薬を処方するとき、医師は母体の安全性と胎児の安全性をてんびんにかけて決めているということのようです。
極端に言うと、母体が高熱で肺炎などの危険な状態にみまわれている場合は、母体の安全性を優先して胎児にとってリスクがある薬が処方される可能性もあります。

妊娠中に医師から葛根湯を処方された場合、心配な方は、複数の医療機関に相談してみるのも手かもしれませんね。

“漢方＝絶対に安全”は要注意！

日本ではメジャーな漢方薬ですが、欧米ではあまり処方されていません。
漢方薬は通常の薬のような審査過程を経ずに保険収載された経緯があり、安全性のエビデンスが不十分なのです。

特に、妊婦さんにとって安全かどうか、治験をして調査するわけにもいきませんから、まだ確かな情報が無いのが現状です。

筆者も“漢方薬なら危険はない”と単純に思い込んでいました。妊娠中は特にですが、自己判断、ネットの情報だけをうのみにしないで、薬の服用については医師の診断、判断を仰ぐようにしましょう。

参照／
東洋経済オンライン「『葛根湯は妊娠中に飲んでも安全』説の問題点」
漢方ノート「妊娠中の風邪に葛根湯はダメ！」
的野ウィメンズクリニック白楽「妊娠中の薬の服用について」