2016.06.30
どうしたらいい?震災後の子どもの心のケア
平成28年熊本地震発生より約3ケ月が過ぎました。被災された皆さま、およびそのご家族の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
不安と緊張の毎日の中で、つい見落としてしまいがちなのが子どもの心のケア。子どもの気持ちは見えにくく、お友達と明るく遊んでいるように見えても家では大人の気持ちを感じて、「お母さんが悲しむから言わないようにしよう」、「あまりみんなに言っちゃいけない」と心の中で考えていることも多いようです。
今回は、震災後の子どもの心のケアについて考えたいと思います。
子どもも大人と同じようにストレスを感じる
地震の恐怖や避難生活によるストレスは大人と同様、子どもも感じています。しかし子どもは危機への対処能力が不十分。言葉も未熟なため事態の把握や気持ちの整理がうまくできません。漠然としている分、子どものほうがより強いストレスを抱えているかもしれません。
子どもはつらい思いを言おうとはしません。大人を気遣い笑顔を作ろうとさえします。子どもの心の傷を見過ごしてしまうと、後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症することがあります。
震災後に見られる子どもの不調
強い恐怖や不安で心に傷を負うと以下のような症状が見られます。
- 暗闇を怖がる
- 悪夢にうなされる
- 無気力
- おねしょ
- 甘え、わがままなどの赤ちゃん返り
- 思春期の子どもでは、ひきこもりや反抗的態度
また食欲不振や吐き気、頭痛などの体調不良を訴えたり、何かの拍子に当時の記憶が蘇りパニックを起こしたり、怯えたりすることもありますが、これらの症状のほとんどは時間がたてば徐々におさまります。
「しっかりしなさい」は逆効果!優しくしっかり抱きしめて
おねしょや、わがままには、つい「しっかりしなさい!」と叱ってしまいがちですが、これは不安を募らせるだけです。それよりも、とにかく優しくしっかりと抱きしめて安心させてあげましょう。子どもが自分に困惑しているときは「地震、怖かったものね。だんだん治るから大丈夫よ」と話して安心させてあげましょう。
上記の症状が長引くときはPTSDの可能性があります。気になったら迷わず専門家に相談しましょう。
やたらに「大丈夫」と言うのもNG
パパ、ママの不安を子どもに隠し、やみくもに「大丈夫」と言うのもよくありません。子どもを家族の一員として信頼し、今の状況やパパ、ママの思いをきちんと話してみましょう。子どもは思っているより大人です。家族の絆を感じてかえって安心するはずです。
“地震ごっこ”は心を癒す行為
安心、安全が確保できるようになると“地震ごっこ”をする子どもがいます。しかしこれを「不謹慎だ!」などと言って止めてはいけません。子どもは遊びで心を癒します。
大人が地震の不安や恐怖を身近な人と話して心を癒すように、子どもは地震ごっこを通してできごとを振り返り、思いを整理するのです。遊び自体は叱らず、危険なことをしないか見守ってあげてください。
子どものために、まずはパパとママが自分を守って!
親である私たちは、自分を犠牲にしてでも子どもを守ろうとしがちですが、子どもにとって一番のダメージは、“パパ、ママに笑顔がなくなること”。まずはパパ、ママがきちんと休息を取り、身近な人と気持ちを分かち合って心身のバランスを保ちましょう。
子どもは子どもなりに、つらさを克服しようとがんばっています。元気だからと安心せずに、小さなサインを見逃さないようにしてあげたいですね。
参照/
NHK ON LINE NHK 解説委員室 解説アーカイブス 「熊本地震 子どもの心のケアは」
文部科学省「子どもの心のケアのために - 災害や事件・事故発生時を中心に」
子どもの心のケア:災害で傷ついた子どものへの対応
毎日新聞 「熊本地震 子どもの支援をNGOがサイト開設」
ごとうともこ
高校生の男子を筆頭に小学生の男の子と女の子の3人の子どもを持つ40代。長男は中学受験、高校受験を経験。息子は高校受験で見事リベンジ達成しました。3人の子育てを通し、幼児教...
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