2012.12.07
「スマイルプリキュア!」プロデューサー長谷川昌也氏
第13回目の今回は、映画「スマイルプリキュア!〜絵本の中はみんなチグハグ!」の公開を記念して、プロデューサー・長谷川 昌也さんに、映画の見どころや製作秘話をインタビュー。大人気アニメのプロデューサーも、家に帰れば一児のパパ。そんな彼が考える「子供との過ごし方」や「家族の在り方」に共感する所も多い納得のインタビュー内容です。
【PROFILE】
東映アニメーション「スマイルプリキュア!」プロデューサー
長谷川 昌也さん
1979年 兵庫県生まれ、フリンダース大学卒業。現在は2004年から続く大人気アニメ「プリキュア」シリーズの9作目となる「スマイルプリキュア!」のプロデューサーを務める。
☆interview☆
♡大ヒット中の映画「スマイルプリキュア!~絵本の中はみんなチグハグ!~」の見どころや製作秘話、意識したポイントを教えてください。
まずこれは作品を作るときに一番意識するんですが、子供って、目で見るものがすべてじゃないですか。
今回の映画に限らずテレビシリーズでも同じ事が言えるのですが、結局のところ子供たちにまず内容を理解して受け入れてもらわないと作った意味がないので。物語の善悪を描くことも大事ですが、大前提として見た目が怖すぎるとか気持ち悪いとかはNGですね。
たとえば冒頭で登場する悪役(金角・銀角)が怖すぎると、子供が先入観で「もう映画を見たくない」なんてことになりかねないですから(笑)。 キャラクターに関してもとにかく見た目で子供が可愛いと思える、憧れるモノを意識しています。今回は昔話の主人公である桃太郎や一寸法師がストーリー上悪くなっていますが、魔王が乗り移って(理由があった上で)悪くなっていることをきちんと画で描いて、子どもの目で見て理解してもらった上で楽しめるストーリーを作ってます。ここは意外に苦労しました。
♡今回のテーマってなんでしょうか?
ズバリ“伝えることの大切さ”だと思います。
生きているとそんなつもりなくがなくても知らぬ間に人を傷つけてしまう。「つい」、「うっかり」なんてことが、大人になってもあるじゃないですか。そんな大人として必ず通る部分はしっかり描きました。
で、その「つい」、「うっかり」の後どう対処するのか?が大事で、映画ではどんな時でも約束を守ることやきちんと謝ることの大切さ、一歩踏み出して頑張った先に何か(ハッピーエンド)があることを伝えることができたらと。
♡「スマイルプリキュア!~絵本の中はみんなチグハグ!~」が これほどまでに、子どもの心を掴むポイントは何なのでしょうか?
なんでしょうね。子供たちが喜ぶポイントって意外なところだったりするので。制作サイドが狙って作った部分も全くウケなかったりするので(笑)。
ただ、子供を飽きさせないという点では「プリキュア映画」は、参加型の映画だということですね。子供にとって、映画館の暗い中でじっと1時間以上座るのは無理ですよね?中には暗くて大音量の劇場が怖いと思う子供だっているかもしれない。また、親御さんにすれば小さな子供を映画館に連れて行くのも気が引けるという方もいると思います。
3、4歳の女の子にとってプリキュアが人生初の映画という可能性も高いですから、そういうことを考えるとやっぱり映画ってすごく楽しいもんなんだよって思ってもらいたいんです。だから、プリキュア映画に限って言えば、ミラクルライト(劇場アニメに登場しプリキュアに力をおくるアイテム)を振って思い切り「プリキュア頑張れ!」と応援してもらったり、ダンスを踊ってもらったりと、じっと座って観るだけのものではなくてイベント的なものにすることによってもう一回観たい!って思ってもらえたらいいなと。
あと、細かな部分まで“女子の素直な感性”みたいなものを大切にしています。ストーリーやキャラクターを作って行く上で、女の子って直感的に「カワイイ♡」みたいなとこあるじゃないですか。あの感覚がほしいなってずっと思ってて。
今回の映画は、監督からキャラクターデザイナー、美術監督に色彩設計まで主要な構成部分を担当するスタッフは全て女性が担当しているんです。なので、映画ではキャラクターの見た目のかわいさだけでなく女性らしい感情の機微が描けているのかなと思います。あと、テレビ版では、プリキュアが小さくなったり、ロボットになったり…見た目には可愛く、子どもにはわかりやすい変化で毎回楽しめるようにしています。こういうある意味大胆な発想もアニメでしかできない楽しさなのかなと。
♡今や、子どもだけではなく “親子で楽しみにしている”という声もよく耳にします。実際に、ママたちからの反響はいかがですか?
「子供の憧れになってる」ってうれしい意見をもらいました。 同じキャラクターでも「アンパンマン」や「ドラえもん」って人間ではない、ちょっと動物的な感じやペットのような存在だと思います。プリキュアの主人公は人間の女の子だから、その部分で子供達にとっては、みんなの「憧れのお姉さん」になるんだと思います。そうなるとライバルはAKB48ですかね(笑)。
子供の憧れになって子供達に影響力を与えられる存在だからこそ、「やらなければならないこと」や「やりたいこと(良い意味で子供にマネしてもらいたい事)」みたいなものはすごく感じますね。あとは、「子供がプリキュアを釘付けで観てくれるので、その間に家事できるからすごく助かる」なんていう意見もありました! あっそれが本当の人気の理由か!なんて思ったり。
♡全国のママ&子どもたちに一言お願いします!
“えがおのにちようび” by長谷川 昌也
スマイルプリキュア!なので笑顔っていうのはもちろんありますけど、日曜日の朝8時半から始まるこれを観てその一日が楽しく始まってほしいんです!プリキュア観て気持ちがドヨンとか悲しいじゃないですか。だから日曜日の始まりはプリキュアの頑張ってる姿をみて、家族みんなが「明日月曜だけど思いっきり楽しもう」って思ってほしい。
いつもは観ないお父さんが眠たい目擦りながらこれ観て「あれ、なんか面白いじゃん」とか思ってもらえたら最高ですね。同じパパとしても本当にうれしいですよ! まぁ、なにはともあれ、日曜日ってものがそれぞれの家族にとって素敵な一日になればいいなぁと思っています。
♡ありがとうございました!
(C)2012 映画スマイルプリキュア!製作委員会
【公式サイト】映画スマイルプリキュア!絵本の中はみんなチグハグ!
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(取材・文 清水美夏)