2015.06.24
知らぬ間に子どもを追い込む『ダブルバインド』に要注意!
『ダブルバインド』という言葉をご存知ですか?
初めて耳にした人も多いかもしれませんが、実は誰しもがついやってしまいがちな言動なんです。
『ダブルバインド』とは、『二重拘束』、つまり『同時に送られる、2つの矛盾したメッセージで板挟みになる状態』のこと。
母親が子どもに対して『ダブルバインド』を続けていると、子どもは混乱し、いずれは自己主張することをやめてしまう恐れも!
日常の中での具体的な実例と回避法をお教えします。
ついついやっていませんか? 買い物中のこんなやりとり
たとえば、スーパーで子どもに「なんでも好きなお菓子を選んでいいよ!」と言ったら、選んでほしくないお菓子をチョイスされたので、「それはダメ!違うのにしなさい!」と替えさせた。
…よくある光景かもしれませんが、これこそが『ダブルバインド』。
「好きに選んでOK」のはずが、いざ好きなものを選んだら「違うのにしなさい!」と叱られたら、子どもはどうして叱られたのか、自分の行動が良かったのか悪かったのかわからず、混乱してしまいます。
「もう、勝手にしなさい!」と叱っておきながら、本当に好き勝手されるとイライラが倍増! さらにキツく叱る、というものよくある話。『ダブルバインド』は、ママがイライラしているときに起こりがちです。
でも、言われた子どもにとっては、「ママが言った通りにしたのに、叱られた…」と納得がいかず、モヤモヤした気持ちに。
このようなことが続くと、「どうせまた否定される」と、子どもは自分で選択することをやめてしまう恐れも。さらには自己主張する意欲もなくなってしまいます。
まだまだあります
日常の中に潜む『ダブルバインド』
また、こんなケースもあります。
■「お手伝いしてくれる?」と言われたので水拭き掃除をしたら、部屋が水浸しになってしまい、ひどく叱られた。
(褒められると思ってお手伝いをしたのに、怒られた…)
■昨日は何も言われなかったのに、同じことを今日もしたら叱られた。
(昨日は良かったのに、どうして今日はダメなの?)
■お店で商品を割ってしまったとき、いつもなら絶対に叱られるのに、何故か何も言われなかった。
※母親は、本心はすごく怒っていたけれど、ひと目を気にしてあまり叱らなかった
(ママ、思っていることと、言っていることが違う!)
このように、『ダブルバインド』は日常の中の様々な場面で起こります。
言葉と実際の行動に矛盾点があると、子どもはどんどん混乱し、不安になってしまうので、要注意です。
こうすれば回避できる! ポイントは4つ
では、『ダブルバインド』を回避するためには、どうしたらいいのでしょう?
1.「本当にしてほしいことだけを、シンプルな言葉で伝える」
まだ小さな子どもには、親の言動の裏にある感情や、言葉の裏表を読みとるコミュニケーション能力が備わっていません。
「○○をしてね」「△△はやめてね」というように、シンプルに伝えることが大切です。
2.「一度は子どもの気持ちに共感し、受け止める」
たとえ否定したいような行動だったとしても、一度は子どもの気持ちを受け止め、共感してあげましょう。
「○○が欲しかったんだね」「△△したいと思ったんだね」などの言葉をかけることで、子どもは「自分の思いがわかってもらえた!」と安心し、母親への信頼度もアップします。
その後、「でもね…」とダメな理由を話すと、すんなり納得してくれますよ。
3.「条件をつけて子どもに伝える」
「遊んでいいよ」と言ったものの、ご飯も食べずに遊び続けていると「いつまで遊んでるの!」と怒りたくなるもの。「○時になったらお片付けしようね」など、はじめに条件をつけておくとスムーズです。
4.「説明を加える」
子どもに「手伝って」とお願いしたのに、時間がかかってしまうからと途中で手伝いをやめさせるのも『ダブルバインド』。
最初に「○○をしてくれる?その後はママがやるからね」などの説明を加えておくと、子どもの混乱を防げます。
『ダブルバインド』という言葉は難しいですが、よく言っているようなことばかりではなかったでしょうか。
ほんの少し言い方に気をつけるだけで、子どもとの信頼関係が格段にアップします。この4つの回避法を常に意識して、私自身も子どもと接したいと思います!
文/水谷 花楓
写真/swambo
参照/
ママも子どもも悪くない!しからずにすむ子育てのヒント/著・高山恵子(学研教育出版)
Keyword Project+Psychology「グレゴリー・ベイトソンのダブル・バインド理論(double bind theory)と芸術のユーモア」