2015.10.17
『予防接種』ってリスクもあるのにどうして必須なの?
たった3年。たった3年だから何も変わらないと思っていました。それがどうしてこんなに予防接種の内容が変わるのでしょうか? 「上の子は打ってないけど大丈夫?」「数年前には不安視されていた予防接種が、いま何事もなく復活しているけど…」と筆者と同じように不安すら覚える、というママも少なくはないですよね。
しかし、本当は予防接種ってとても大事なもの。「不安だけど受ける」、を「安心するために受ける」、に変えるためにも、予防接種の知識について詳しく知っておきましょう!
「ワクチンで防げる病気」を『VPD』と呼びます
そもそも、予防接種とはその名の通り、病気に罹らない、もしくは罹っても重篤化するのを防ぐために受けるワクチン接種の事を言います。母乳には免疫があるから授乳中は病気には罹らないなんて言いますが、新生児でも病気になりますし、新生児だからこそ重篤化する病気だってあります。
例えば肺炎球菌。体力のある大人や子どもが罹ってもそう深刻な病気ではないのですが、新生児や老人など体力のない人が罹患すると細菌性髄膜炎を引き起こし、障害が残ったり命を落とす恐れすらある怖い病気です。
このように、ワクチンで防げる病気のことを『VPT』と言い、我が国でも早い時期でのワクチン接種を推奨しています。
出典:KNOW VPD
今は流行っていないポリオ、 それでも予防接種を受けるのはなぜ?
2012年9月からよりポリオワクチンの不活化ワクチンが導入され、同年11月からは三種混合(DPT)と単独不活化ポリオを混合した四種混合ワクチンが導入されました。
この前後によくママさんたちと話していたのが、「今ポリオに自然に罹る事はめったにないのにどうして危険が疑われるポリオ(※この時は経口ワクチンでした)を受けないといけないの?」ということ。
確かに少しでも危険性があるのなら、と不活化ワクチンが導入された訳ですが、そもそも今日本で流行っていない、もしくは根絶された病気のワクチンまで接種しなくてはいけないのはなぜなのでしょうか。
実はこの『根絶』は、ワクチン接種が根付いたからこそなし得た事なんです。流行の時期を経て、ワクチンを打つ事で少しずつ病気に罹る人が減り、そうして全くいなくなったからこそ、今は国内にいれば罹る心配が殆どないレベルまでになったのです。
逆に『風疹』はかつて女性だけが予防接種の対象だったのですが、予防接種を受けていなかった年代の男性から感染が広がり、患者数が急増し、今では性別関係なく接種する事が推奨されています。
このように、予防接種をきちんと受ける事が流行することを防ぎ、自身の身を守ることにもつながるんですね。
同時接種ってホントに安心なの?
さて、予防接種の大切さに関して少しはお伝えできたでしょうか。では『同時接種』についてはいかがでしょうか?
ちょうど筆者の上の子が予防接種デビューをする頃に、ヒブと肺炎球菌を同時接種した乳児の死亡がニュースなどで大きく取り立たされていました。しかし気が付くと同時接種が当たり前のように再開されていて、私自身とても驚いたのを覚えています。
その後の調査で、「死亡の原因が同時接種と直接関連するものではない」と断定されたというのが理由のようですが、あれ以降同時接種での死亡例が報じられていない事を見ると、直接的原因として考えにくいですし、むしろ同時接種を推奨しているのが現状です。
同時接種はデメリットばかりを報じられやすいですが、メリットもあります。予防接種を受けた後は4週間他の予防接種は受けられないため、同時接種を行う事で早期にたくさんの種類のワクチンを接種する事ができます。また、病院へ行く回数も減るため、ママにとっても負担が小さいですよね。
筆者自身も、必要なのはわかっていても、副反応で熱が出たり、小さな身体に何本も注射を受けて泣き叫ぶ姿を見ていると「ほんとに必要なのかなぁ」なんて思う事もありました。しかし、本当にかわいそうなのは小さな身体で大きな病気に罹ることです。
予防接種の正しい知識を得ることで、ぜひ一人でも多くのママたちが、安心して予防接種を受けることができるよう、願っています。
minami
1984年生まれ。新卒で入社した会社で求人広告の書き方を覚え、人に何かを伝えることの楽しさを知りました。退職後は求人関連のコラムを書いていました。今は4歳と1歳の怪獣2匹に囲...
詳しくはこちら