2015.06.11
色で子育てが楽しくなる!『色育(いろいく)』の効果とは?
食の知識を深める『食育』、音楽を通して心を育てる『音育』の他に、最近では色の持つさまざまな効果を利用して子どもたちの生きる力を育てよう、という『色育(いろいく)』が注目を集めています。
今回は、そんな『色育』について色育アドバイザーの柿沼玲子さんに詳しくお話を聞いてみました!
そもそも『色育』ってなあに?
『色育』とは、色の持つ生理的・心理的効果を日常の生活に取り入れることで、集中力、想像力、コミュニケーション力といった人間としての生きる力、すなわち『人間力』を育む取り組みです。
『日本色育推進会』が提唱し、最近では教育現場でも活用されています。
「『色育』は、子どもから大人まで年齢を問わずにできる簡単なコミュニケーション。とくに、まだお話が上手にできない子どもとの親子間の会話ツールとして、ぴったり」と柿沼さんは教えてくれました。
スゴイ! 色の持つ不思議な力とは?
「たとえば、人間は外部からの情報を得るために五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触角)を働かせて生活しています。
その使う割合を見てみると、なんと『視覚』が8割以上! さらにその大半が、『色』から得た情報と言われているんです。
つまり、それだけ色が心に与える影響は大きいというわけです」(柿沼さん)
ちなみに、五感の中でも味覚は1%しか使われていないそうなので、普段私たちが「美味しい」と感じているものの基準は、「味よりも見た目がすべて」だったりするそうです。
「加えて、生まれたばかりの赤ちゃんの視力は0.01~0.02ほどで、モノを見てもその形はまったくわかりません。
しかし、明るい暗い、といったコントラストや、黒、白、グレー、そして生後3カ月頃になると、赤といった色を認識できるそう。
4~6カ月頃には色の差がわかるようになり、1歳頃にはほぼ大人と同じように見えるようになるのです」(柿沼さん)
なので、生後早い時期から色を使ったコミュニケーションを始めることができるんですね!
『色育』で深まる、親子の絆
この『色育』は、専門の知識がある色育講師による『色育講座』でオリジナル絵本やぬり絵、カラーダイヤリーなどの楽しい教材を使って体験することができます。
(実際に筆者も、親子合作ぬり絵に挑戦してみました。新しい発見と驚きがありましたよ!)
一方で、普段の生活でもママと子どもが色を介して、互いに言葉をつむぎながら知識を深めるための方法も、一緒に柿沼さんに教えてもらいました!
・言葉のシャワーを浴びせてあげる
先述のように、赤ちゃんは色についてはなんとなく認識することができます。お散歩をしながら目にした風景について、ママは「赤い車が止まっているね」「空が真っ青だね」などと声掛けしてあげて。
聞いていないようでも、何度も繰り返してあげることで、赤ちゃんにとっては大きな刺激になります。
・なるべく『本物』を見せてあげる
絵本などに出てくる葉っぱを見ながら『緑』という色を声がけてあげることもいいですが、できれば実物を見ながら、コミュニケーション!
「葉っぱは緑」とひと口に言っても濃い緑から薄い緑……とさまざまです。同じ緑でも違う、ということをリアルに体験させてあげましょう。
・買い物にも色を取り入れてひと工夫を
スーパーでリンゴを買うときなど、子どもと一緒に美味しそうな色のものを選ぶように心がけてみては?
陳列されているリンゴやにんじんなどは、色も形も一つとして同じではありません。美味しそうな色、(言葉は悪いですが)まずそうな色、といったモノを色で表現する感覚を養うことができます。
・カラーダイヤリーの活用
『色育講座』の教材の一つでもあるカラーダイヤリー。これは、お子さんが好きな時に自由にぬる、親子のぬり絵交換日記です。
子どものぬった色でその日の気分を知ることができ、それを元に子どもの気持ちに寄り添ったり、それについて会話が弾むことも!
・捕色体験で集中力アップ!
色のはっきりとしたボールなどを30秒間、じーっと見つめます。まばたきもできるだけ、ガマン!
数え終わったあとに、部屋の白い壁などに目を移すと見ていた色と反対の捕色の残像(たとえば黄色は紫、赤は緑になる)が浮かびます。
(ちなみに、この残像効果の発見者はあの詩人のゲーテ!)
体験するには、集中力がとっても必要になるので、子どもの集中力ややる気を高めるトレーニングにもなりますよ。
『色育』がもたらす効果とは
色には癒す力があることは、みなさんご存知ですよね。柿沼さんによれば、色育講座を受講されたママたちからは、「自分が癒された」という声が多いんだそうです。
色をぬる、という行為自体に心のデトックス効果があるのかも……?(もちろん、子どもにもたくさんの自然の色を見せてあげることで、心地よい刺激を与えられることは言うまでもありません!)
そして、子ども自身もたくさんの色を知ることで、色の世界や想像力がどんどん広がって行き、コミュニケーションだけでなく、表現力や語彙力のアップも期待できるのです。
最後に柿沼さんはこう締めくくります。
「子どもがいま目に見えたこと、その色を選んで絵をぬったことなど、子どもが現状に感じたことを大切にして、とにかくほめてあげてください。
『色育』は、勉強のように教えるのではなく、育む(はぐくむ)ことがポイントです。ぜひ日常に色を取り入れて、親子のコミュニケーションを楽しんでみてくださいね!」
文/よしだみすず
協力/色育アドバイザー 柿沼玲子(http://ameblo.jp/alyssaerika/)
参照/一般社団法人 日本色育推進会
よしだみすず
10年の編集経験を経たのち、妊娠を機に活字の世界から離れるも、やっぱり忘れられないのとちゃっかり帰ってきた出戻りライター。趣味の酒とゴルフはどこへやら。日中は、2012年生...
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