2018.07.14
人見知りと間違えやすい?話したくても話せない子供の『場面緘黙(ばめんかんもく)』とは
家ではおしゃべりな子供が、なぜか幼稚園や保育園では一言も話さない。そんなとき人見知りや恥ずかしがりかと思いがちですが、実は『場面緘黙(ばめんかんもく)』の症状の可能性もあるのです。
ここでは、あまり知られていない不安障害のひとつ、場面緘黙についてお伝えします。
場面緘黙とはどんな症状のこと?
場面緘黙は不安障害のひとつで、500人に1人ほどの割合で起こります。発声などに問題がないのに、学校や幼稚園などの特定の場面や状況になると話すことができないのが特徴です。
言葉だけでなく、体が過度に緊張して動作や表情などにこわばりが出る“緘動(かんどう)”が出ることもあります。本人は話したくても話せない状態が長く続くので、周りと関わることを避ける傾向があります。
人見知りや恥ずかしがりとの違いは?
では、周りはどのようにして、人見知りや恥ずかしがりとは違う症状であることを見分ければよいのでしょうか? ポイントは、次の2つです。
- 園や学校など特定の状況において話せない状態が、何ヶ月、何年など、長い期間続く
- ふつうはリラックスできるような場面でも、話せない状態が続く
子供が家だと問題なく話せるのに、特定の状況になるとまったく話せないことが1ヶ月以上続いているなどしたときは、場面緘黙かもしれないと考えてみてください。
場面緘黙は障害だと気づかずに適切な支援を受けられないことも多いのですが、周りの気づきと協力が治療には不可欠です。
症状があった場合の対処法と周りが気を付けること
では場面緘黙の症状が見られたとき、周りはどうすれば良いのでしょうか?
1.園や学校の先生、スクールカウンセラーに相談する
子供の場合、まず園や学校の先生、そしてスクールカウンセラーに相談しましょう。場面緘黙に関する資料を持っていくと伝わりやすいです。家庭と学校でしっかり情報交換することで先生への信頼が増して、コミュニケーションに繋がっていく場合もあります。
2.専門家に相談する
専門家の中でも知っている人が少ない場面緘黙ですが、不安症や発達障害に詳しい医師や心理士、言語聴覚士がいる発達センターや教育センター、クリニックなど、さまざまなところに相談してみましょう。市区町村の保健所や子育て相談窓口で、専門機関を紹介してくれる場合もあります。
3.話さないことで、本人を責めない
本人は不安や緊張から話せなくなっているので、無理して話すことを強要するのは逆効果です。返事がなくても、やさしく話しかけてあげましょう。
症状が現れる場面でも、「はい」「いいえ」の意思表示や、筆談ならできるかもしれません。本人ができる方法でコミュニケーションをとってみましょう。
「場面緘黙は自然に治るから大丈夫」と言われることもあるのですが、じつは早期治療が大切です。
放置すると症状の改善が遅れるだけでなく、うつや他の不安症状などの二次的な問題が生じやすくなるので、周りへの理解や協力を求めると同時に、早めに専門機関に相談し、認知行動療法や薬物療法など、適切な対処をすることが大切です。
昔は親の育て方が場面緘黙の原因になると言われることもありましたが、近年ではそういった説は撤回されています。
子供では、入園児や入学時などの集団生活がはじまるときの不安から発症することも多いそうです。まずは子供の状況をしっかりと受けとめ、もし症状があれば周りとも協力しながら早めの対処を心がけましょう。
PHOTO/Niwat singsamarn/Shutterstock
参照/
NHKバリバラ「知られざる場面緘黙(かんもく)の世界」
Medical Note「子どもの選択性緘黙(場面緘黙)人見知りや恥ずかしがりとは違う、話せない情緒障害◇」
NHKハートネット「わざと話さないわけじゃない。専門家に聞く、場面緘黙(かんもく)について知っておきたいこと」
LITALICO発達ナビ「場面緘黙(かんもく)の原因とは?声が出ない要因、子どもの緘黙はなぜ起こる?大人の場合は?について解説」
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記事提供:ならいごとキッズ マガジン