2017.07.23
これって個性?それとも障害?子どもの行動で悩んだときの相談のポイント
なかなか気づかれにくく相談しづらい『発達障害』
Photo/marozau andrei/ShutterStock
ひと昔前までは、“障害”といえば、運動や感覚に難しさを抱えている、全般的にゆっくりと育っている、というイメージが強かったと思います。
ところが最近は、“発達障害”という、知的には年齢相応の発達をしていながら、得意と苦手の差が激しいために、早期からの支援を必要とするタイプの子どもたちがクローズアップされてきています。
発達障害は、行動面や対人面での難しさが特徴なので、わかりにくいし、気づかれにくいことが多いです。
特に第一子の場合、第二子以降の子どもに比べ、ママもパパも初めての育児で、比べる対象がいないことから、“子どもなんてこんなもの”と思い、育児に困難を抱えながらも、問題とは思わずに過ごし、健診の場で相談を勧められて驚く方もいます。
発達障害の子どもは、“目が合わない”、“抱っこを嫌がる”、“言葉が遅い”、“落ち着きがない”、“こだわりが強い”など、赤ちゃんの頃からその特徴は表れています。
それらをそのままにしていることで、子どもの経験の幅が狭まったり、成功体験が積み重ならなかったり、親や周囲の人に注意されることが多くなってしまうと、たくましく生きていくために大切な、“自己肯定感”が低くなってしまいます。
また、周囲も、ママの育て方が悪い、しつけがなっていない、子どもがわがままだ、乱暴だ、といった目で見てしまうことがあるので、ママたちはツラい思いをしながらも、相談を伸ばし伸ばしにしてしまうことも多いようです。
気になったら早めの相談を!
こういった発達障害は、相談しづらく、後回しにしてしまうママも多いですが、相談するタイミングは、早ければ早い方がいいです。
脳は、大人を100%の完成度とすると、3歳で70%、5歳では90%になるといわれているそうです。まだまだ頭の柔らかいうちに、適切な関わりを増やすことで、その後の子どもの成長は変わっていきます。
子どもの特性に合った対応方法を、ママとパパが知っておくことで、無意味にいらだったり、責めてしまったり、不安になったりすることも減り、得意な力が更に伸びていくかもしれません。
子どもの発達で気になることがあったら、まずは、近くの保健所や子ども家庭支援センターなどに相談してみてください。必要に応じて専門家のいる施設や病院が紹介されることになると思います。
また、せっかく意を決して相談をしても、「まだ小さいから様子をみましょう」と言われ、モヤモヤを抱えたままに終わってしまうこともあるようです。
まだまだ発達障害やその傾向をもつ子どもについて、すべての地域で受け皿が整っているわけではなく、たまたま担当した人が詳しくないという場合もあります。
「この人はそう言うけど、なんか違う」という母親の勘が働いたならば、「ではいつごろまで、どんな対応をしながら様子を見て、そこで改善が見られなかった場合はどうすればよいのか」と詳細まで確認した方が良さそうです。
それでもわからない場合は、別の相談員や、ほかの施設に相談することも視野に入れて考えてみましょう。
個性であれ、障害であれ、行動のせいで子どもが困っていたり、行動が制限されてしまっているのであれば、ママは、よりよい対処法を知っておきたいもの。
子どもに向けた療育的なかかわりは、“丁寧な子育て”がベースになっているので、障害の有無にかかわらず、すべての子どもに有効です。医療機関以外で行う相談は、“診断”ではないので、突然診断名がついたり、薬が処方されたりはしません。
子どもの行動の意味を一緒に考え、今日からどう関わっていけば、子どもの困り感が減り、自己肯定感が高まっていくのか、それぞれの家庭にあったやり方を考えていくことが大切です。
ママが一人で抱え込まず、一歩を踏み出すことで、専門家と悩みを共有しながら、子どもとママにとってよりよい方法が見つけられるといいですね。
TOP PHOTO/Dmitry Zimin/shutterstock
参照/
0歳~3歳まで 赤ちゃんの発達障害に気づいて・育てる完全ガイド 黒澤礼子著