2018.06.30
“お手伝い”とは違う!?子どもの“生きる力”が育つ『台所育児』とは?
1991年からNHK教育テレビで放送された子ども向け料理番組『ひとりでできるもん!』。その料理指導と監修を務めたのが、料理研究家の坂本廣子さんです。
テレビ番組の中で小さな子どもに包丁を使わせること自体がタブーとされていた当時に新しいジャンルを切り開き、現在は神戸で子ども向けの料理教室『キッズキッチン』を開くなどして活躍されています。
今回は、そんな坂本さんの提唱する『台所育児』についてご紹介します。
坂本さんの提唱する『台所育児』ってどんなもの!?
筆者にも思い当たる節があるのですが、子どもがご飯のお手伝いをしようと名乗り出ても、つい“かえって時間がかかって面倒だから”とか、“子どもに包丁やコンロを使わせると危ないから”などの理由で断ってしまうことってありませんか?
坂本さんは、“大人が入口で「危ない!」と拒否してしまうことで、子どもと関わる喜びや自信をつけさせるチャンスを閉ざしてしまうなんてもったいない!”と主張しています。
料理を通して子どもの“やりたい!”という気持ちを伸ばし、“できた!”という自信をつけさせるのが『台所育児』なのです。
そして、最終的な目標は“子どもが大人の手を借りずに、自分だけの力で最初から最後まで料理を作る”ということ。
どんな小さな子どもでも、どんな簡単な料理でも、きちんと最後まで責任を持ってやり遂げることで自信や自尊感情が生まれて、生きる力になっていくそう。いわゆる“お手伝い”とはまったく異なるものなのです。
1990年に坂本廣子さんが刊行した『台所育児-1歳から包丁を』(農山漁村文化協会)は、多くのママたちの共感を呼び、今もなお売れ続けるロングセラーとなっています。
出典:Amazon
子どもが興味を持ったときが『台所育児』を始めるとき
では、いつから台所育児を始めたらよいのでしょう? 答えは“子どもが興味を持ったとき”です。
著書にもあるように、子どもが興味を持てば、たとえ1歳であっても始められます。ただし、「止まって!」という指示がきちんと守れるのが条件です。
ちなみにスタートが早ければ早いほど、子どもの上達も早いそう。幼児期の経験こそが脳にとっては大切とされているので、6歳頃までに始めるのがベストだそうですよ。
ちょっと心配な気もしますが、実は子どもは大人が思うよりずっと器用なのだと坂本さんは言います。本当に危ない場面以外、大人は余計な手出しをせず見守り役に徹するのが基本です。
子どもに合わせた道具選び&環境作りから始める
当たり前ではありますが、大人が普段料理をしている道具や環境は、子どもには向いていません。きちんと“子ども仕様”に整えてあげることから始めましょう。
まずは道具から。基本となる『包丁』は、意外に思うかもしれませんが、実は“よく切れる”ものが向いています。切れ味の悪いものだと余計な力がかかってしまい、逆に危険なこともあるんです。
刃渡りは子どものこぶし2つ分がベストサイズ。ほかに、皮むきや薄切りに使える『ピーラー』と、骨切りなどにも便利な『キッチンバサミ』を子どもサイズで揃えておくと◎です。
踏み台を用意して、子どもが作業を行いやすい環境にしてあげることも大切です。高さは、子どもが踏み台に立って作業台に手を置いたときに“くの字”の角度になる高さが理想です。90度だと力がうまく入らないので要注意ですよ。
一方、コンロでの作業の場合は、普通の作業台のときよりももう少し高めの位置から料理ができるように調整しましょう。鍋が見下ろせる高さにすることで調理中の様子もよく見えるし、二の腕などを火傷してしまうのも防げます。
みんなの『台所育児』を拝見!
SNSで見つけた、自宅で『台所育児』を実践している家庭の様子をご紹介しましょう。
踏み台を用意してコンロで作業♪
こちらのお子さんは2歳2ヶ月とのことですが、こんな小さな子でもしっかり自分で料理していますね! ちなみに使っているのは『IKEA』のスツール。安定感もあり使いやすいと評判です。
ピーラー使いだってお手のもの!
こちらのお子さんは、ピーラーを使ってスムーズにニンジンの薄切りをしています。思っていた以上に手つきがよくて、驚いた人も多いのでは? 子どもが集中している間は、親はあれこれ口出ししないこともポイントです。
包丁使いも“猫の手”でバッチリ!
食材を押さえるのは“猫の手”など、子どもにわかりやすいように説明してから実践させるのがコツです。包丁も上手に持てていますね。
大人顔負け!フライパンで調理♪
フライパンを使って器用に食材を調理している姿に、たくましさを感じます。やってみたい!と思ったことには挑戦させる、そんなママの姿勢にも脱帽ですね。
坂本さんは著書で「これからの時代は、女性だけが家事や育児でクタクタになるのではなく、家族がみんな負担を分け合うのが良い」と述べています。
子どもが料理を自分で作れるようになれば、ママも大助かりですよね。危険という先入観は捨てて、ぜひ『台所育児』を始めてみませんか?
TOP PHOTO/nd3000/shutterstock
参照/
日経DUAL「1歳からの台所育児 6歳までの経験が脳を伸ばす」
ESSEonline「台所育児で好き嫌いも克服!小さな子どもが自分でつくれる簡単レシピ」
IN YOU「子どもを家事に巻き込む「台所育児」のはじめ方。子どもの包丁と踏み台の選び方も教えます。」
mamaPRESS編集部
mamaPRESS編集部です!“「ママ」であることをもっと楽しみたい!輝きたい!”そんなママたちのために「ママ」が知りたい情報だけをお届けしています。mamaPRESSを読むことで、心に...
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