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子ども

2017.05.24

怒鳴る回数が減る?“コモンセンスペアレンティング”って何?

怒鳴る回数が減る?“コモンセンスペアレンティング”って何?

毎日毎日子どもに怒鳴ることに疲れ、自己嫌悪に陥っているママ・パパも多いのではないでしょうか。

そんな方にお伝えしたいのが、アメリカで生まれ、日本でも次第に広がっている“コモンセンスペアレンティング(CSP)”。怒鳴らずに子どもを良い方向に導くための教育プログラムです。

コモンセンスペアレンティングって何?

『コモンセンスペアレンティング』(CSP)というのは、アメリカから始まった子育てプログラムのこと。非行や行動に問題のある少年少女たちの親に向けて行われているものでした。

叱るのではなく、“ほめる”“肯定する”子育てをすることで子どもの悪い行動を減らし、好ましい行動を習慣づけていきます。これが近年、日本の文化にあわせてアレンジされながら、全国で徐々に広がっているのです。

CSPを広げることに大きな貢献をしている茅ヶ崎市役所の伊藤徳馬さんが、『どならない子育て』、『どならない子育て それでもやっぱりどなっちゃいそうなとき編』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワンより出版)という本を出したことも有名になりました。

CSPは、虐待を防止するためにも有効

実は、CSPは虐待防止にもつながります。

平成29年度中の児童虐待相談対応件数は約13万4千件。過去最多なんだとか。虐待は、“体を傷つけるもの”というイメージがあるかもしれません。でも、それだけではなく、心理的に傷つけるものも含まれていて、これが最近増えているんです。

子どもに対して“しつけのために怒鳴っている”と親が思っているものも、エスカレートして子どもを傷つける言動になれば、虐待になってしまいます。

気づかないうちに虐待に発展することもあるので、十分気をつけたいですね。

CSPで叱る回数を減らせる具体的な方法

コモンセンスペアレンティング

Photo/Ant Clausen/Shutterstock

筆者も、小学生の娘や年少の息子についつい怒鳴ってしまって自己嫌悪になることがよくあります。

何度言っても学校の宿題をやらなかったり、洋服をぬぎちらかしたり、人さまの家で失礼なことをしたりすると、声を荒らげてしまうことはしょっちゅう。

また、息子がおもらししたパンツをこっそりクローゼットの奥深くに隠して数日経ち、すごい臭いを発してから発見したときには、つい大声で怒鳴ってしまいました…。

怒鳴ることで子どもは泣いたり謝ったりしますが、その後、あまり行動が改善されないようにも思います。

実は、こういった感情的な叱り方は、意味がないどころか、子どもを委縮させ、怖がらせるだけ。自分の怒りを子どもにぶつけているだけになってしまっているんです。こんなときにコモンセンスペアレンティングの考え方を少し知っておくと、叱る回数が減らせるかもしれません!

叱る・怒鳴ることがしつけなのではなく、やっていいこととよくないことの区別が子どもに伝われば、それでいいわけですよね。感情的になっては、伝わるものも伝わりません。

前述の伊藤徳馬さんによれば、子どもへの伝え方のポイントは次のとおりです。

(1) 行動を具体的に表現する
(2) 肯定的表現を使う
(3) 共感的表現を使う
(4) 環境を整える

例えば、さきほどの息子がおもらしパンツを隠してしまった件。このとき筆者はカッとなり、大人目線で「どうしてこんなことをしたの!」「こんなことをしちゃだめってわかるでしょ!」といったことしか言えませんでした。

でも、これでは子どもには理解できません。パンツを隠したとき、その後、さらなる惨事が訪れるだなんて、息子は想像していなかったでしょう。

「だめってわかるでしょ!」なんていわれても「いや、わかんないし…言ったらママが怒るじゃん…」って言いたいですよね。でも、親が怖くて、よくわからないけれど謝る、という結果になってしまいます。

まずは、ぐっと怒りをこらえて感情がおさまるのを待ち、テレビなどがついておらず、子どもが気をそらさずに集中して話を聞けるところに移動しましょう(これは、「(4)環境を整える」ですね)。

「ママが怒ると思って、隠しちゃったんだよね」「恥ずかしくて言えなかったのかな」などと子どもの気持ちを確認・共感したいところを話す(「(3)共感的表現を使う」)。

その後、「おもらしをしてしまったら、パンツを洗うからすぐに渡してね」ということを伝えたいですね。「おしっこしたパンツをそのままにすると、もっともっと臭くなって大変になっちゃうんだよ。バイキンが増えちゃうね」といった説明もきちんとしてあげましょう(「(1)行動を具体的に表現する」)。その後、一緒にパンツを洗ってもいいかもしれませんね。

親が「次からどうする?」と聞いて、子どもが「ちゃんとママに言う」とか「トイレでおしっこする」と言えたら、「ちゃんとわかってるね、えらいね!」と褒めてあげることも忘れずに!(「(2)肯定的表現を使う」)

完璧を目指さなくてOK

こういった子育ての手法を一度試してみても、「私にはきかなかった…」とすぐ諦めてしまう人も多いかもしれません。

でも、まったく怒鳴らないことを目指すことが、そもそも無理な話。毎日10回くらい怒鳴っていたものが8回くらいになったら、そこで「減ったぞ!」と自分をほめてあげてください。

“怒鳴らなければ子どもに言うことを聞かせられない”という状況は、実は本当の意味で子どもに理解させたことにはなっていないですよね。親の方も疲れてしまいます。

少しでもお互いの負担を減らすために、意識してみてはいかがでしょうか。今日から、怒鳴る回数がほんの少しでも減るといいですね。

PHOTO/Yuganov Konstantin/Shutterstock
参照/ 日経DUAL「「いい子にしててね」を子どもは理解できない」
日経DUAL「子どもを叩いていいほどの「正しい理由」なんてない」
ボーイズタウンコモンセンスペアレンティング「コモンセンスペアレンティング®とは」
厚生労働省「平成29年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数<速報値>」

村山明日香

村山明日香

神奈川県在住。三十路に突入しました。元雑誌編集者で、現在はフリーライター&エディター。やんちゃすぎる2人の子どもたちの育児をしながら、合間に執筆やチェック作業。おカタい...

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