2019.05.17
柔軟剤の使用量に要注意!『香害』による健康被害の実態とは?

洗濯したタオルや衣類からふんわり香る柔軟剤の良い香り…。テレビCMでもよく見かける光景ですが、実はこの香り、度を越すと他の人に苦痛な思いをさせてしまう可能性もあるのだとか。香りによって引き起こされる『香害』、その弊害とは…?
新たな公害『香害』とは?
『香害』とは公害になぞらえた造語で、他人が使う柔軟剤などの香りが“不快”というレベルを超えて吐き気、頭痛などをもたらしてしまう健康被害のこと。その中でも特に問題視されているのが、『柔軟剤』の臭いです。
10年ほど前に海外製の柔軟剤がブームとなったこともあり、国内メーカーでも芳香性の強い商品が増えはじめました。それに伴い、日本でも被害を訴える人の数はここ数年で増加。
NPO法人・日本消費者連盟が運営している『香害110番』には“柔軟剤の臭いが電車の車両に蔓延しているため、通勤すら難しい”といった電話相談が多数寄せられているそう。
ちなみに、最近では人が人工的な香りにさらされ続けた結果、自然の香りに鈍感になってしまっているという報告もあるんですよ。健康に問題がなくとも、嗅覚そのものが鈍ってしまうのは悲しいですよね。
人工の香りが『化学物質過敏症』の原因に
こうした臭いによる健康被害の多くは、『化学物質過敏症』の発症と関連していると指摘する医師もいます。
化学物質過敏症とは、ある化学物質を大量に浴びたり少量を繰り返し浴びたりすることで体内の許容量を超えてある日突然発症する症状。一度発症してしまうと、少量の化学物質でも頭痛やめまい、吐き気、目のかすみ、鬱、記憶低下などを引き起こしてしまいます。
普通の人にとっては「良い香り~!」ですむ柔軟剤も、化学物質過敏症の人にとっては深刻な健康被害をもたらす可能性があるのです。
また、化学物質過敏症は誰でもなりうる症状のため、人工の香りにさらされ続けることにより、自分や子どもが健康を害する可能性も否定できません。
実は“香害先進国”とされるアメリカでは成人の4人に1人程度、つまり約25%の人が“自分は化学物質に敏感”だと感じているというデータもあります。また、実際に医療機関で化学物質過敏症と診断を受けたことがある人は12.8%もいたのだそう。
さらに国内に目を向けると、新潟県上越市で市内の全児童を対象に行われた調査によると、中学校3年の17.9%に化学物質過敏症に類似する症状が見られたそうです。
子どもの健康を守るためにも、ママたちは普段使っている柔軟剤や消臭グッズの使用量を見直したいですね。
あなたは大丈夫?『香り』のマナー
周りの人や子どもにも悪影響を及ぼしかねない『香害』。自分が被害を撒き散らしてしまわないようにするためにも、確認しておきたいポイントとはどんなものでしょうか。
まずは、柔軟剤を購入するときには香りをチェックしてその製品が香り付けを目的としている“高残香タイプ”なのか、そうでない“微香タイプ”なのか確認すること。
香りの強いタイプの柔軟剤が好みの人もいるかもしれませんが、もしそうでなければ、なるべく微香タイプを選ぶようにするとよいでしょう。
あるいは、わざわざ香りの強い柔軟剤を使わなくても、クエン酸などを使って匂いの元を断つという選択肢もあります。
また、意外と多いのが、洗濯機に規定量以上の柔軟剤を投入しているパターン。服を良い香りにしたくてだんだん柔軟剤の使用量が増えていませんか? 思い当たる人は今一度、柔軟剤の使用量を見直してみることをおすすめします。
心地よい気分にしてくれるはずの“香り”によって、健康被害が起きてしまうなんて、ちょっと衝撃ですよね。まだ日本での認知度は低いのが現状ですが、『香害』で辛い思いをしている人は確実に増えています。
“強すぎる香り”によって起こる弊害について、私たちひとりひとりが考えなければならないタイミングがやってきているのかもしれませんね。
PHOTO/Sergey Lapin/shutterstock
参照/
産経新聞「街にあふれる「香害」で体調不良に「誰もに起こり得る」化学物質過敏症に注意」
DIAMONDONLINE「「香害先進国」アメリカの悲惨な実態、成人3人に1人が被害者」
新潟看護大学「児童・生徒(6~15才)の化学物質過敏症様症状に関するアンケート再調査」
citrus「【SNSで話題】崩壊する日本人の“感覚”。柔軟剤や芳香剤による「香害」の深刻さ」
日本石鹸洗剤工業会「上手に使おう 柔軟剤」

mamaPRESS編集部
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