2017.01.22
「負けたくない!一番じゃないとイヤ!」やっかいな子どもの『一番病』の乗り越え方
『負け』を経験させるためのおすすめの遊び
家庭でうまく“負ける経験”をさせるために、おすすめの遊び方を3つご紹介します!
勝ち負けを繰り返す遊び『トランプの“戦争”』
例えばトランプの『戦争』というゲームでは、「いっせいのせ」で場にカードを出し、大きい数を出したほうが場のカードをもらえるというルールで、カードがなくなるまで小さな勝ち負けが繰り返されます。
カードの運で勝敗が決まるので、年齢は関係ありません。全カードの半分を持ち、一枚ずつ出していくので、小さい子どもが無理に扇型にカードを持つ必要もなく、初めてのトランプ遊びにも適しています。
子どもにその都度どちらの数が多いかを言ってもらい、きちんと数えられたこと、自分の数が少なくても正直に伝えられたこと、ルールを守れたことを評価します。
途中で負けが続いて不安定になってきた子どもにも、勝負は最後までわからないことを伝えながら続けるうちに、今度は勝ちが続いたりするので、最終的に子どもが負けても、大きな“負け感”を感じずに済むようです。
勝ち負けが絶対的でない遊び1『あっちむいてほい』
『あっちむいてほい』では、じゃんけんに勝った方が勝負に勝つとは限りません。指さしにつられて負けてしまっても、またすぐ次ができますし、お互いに笑えるような雰囲気で、勝ったのか負けたのかよくわからない、やっていること自体が楽しい気持ちになりますよね。
勝ち負けが絶対的でない遊び2『自分たちでルールを作ろう』
いろいろな勝敗ルールを、子どもと相談しながらつくります。例えば、じゃんけんで“負けた方が勝ち”、“今度は紙飛行機が早く落ちた方が勝ち”などどうでしょう。
この場合、事前に子どもと相談して決めたことは、あとになってから覆さない約束をしておくとよいでしょう。勝ちにこだわる子どものなかには、自分が勝つためにルールをねじ曲げようとすることがあります。『ルール』の意味を学ぶことも大切ですよね。
『一番病』克服のために、ママが普段から気を付けたいこと
わが子に強く『一番病』の傾向があると、なるべく家での競争では勝たせて、機嫌よく過ごしてもらいたいと思うかもしれません。でもそれでは、子ども自身のためにはならないばかりか、家族以外の集団の中で周囲に迷惑をかけ、何よりも子どもが苦しむことになってしまいます。
家で、子どもの性格を一番知っているママが、徐々に“負けてもまたやれば大丈夫であること”、“ゲームや競争では勝つ人がいれば負ける人がいること”、“ルールを守ることや楽しめることが大切であること”を伝えていけたらいいですね。
事前に負けそうでも最後までやる、負けても怒ったり泣いたりしないといった約束などをして、起こり得ることをイメージさせてから始める手もあるかもしれません。
また、普段の生活から、「じょうずにできた」、「勝ってすごいね」などの“結果”だけでなく、「一生懸命やってるね」「ちゃんとルールを守れたね」などの“経過”を大切にするママの姿勢を伝えていけるようにしたいものですね。
『一番病』は悪いことばかりではありません。むしろ、“お友だちに負けたくないから練習をする”、“興味のあることで一番になりたいからがんばる”といった上達したいという気持ちの原動力にもなります。卓球の福原選手やテニスの錦織選手は、小さいころからかなりの負けず嫌いだったそうです。
勝ちにこだわる『一番病』を発揮できる場面が増えるとともに、悔しい気持ちを上手にコントロールできる力を徐々に学んでいってほしいですね。
参照/
大阪市教育センター「相談事例 3.勝ち負けにこだわる子どもへの対応 」
公益社団法人発達協会「ADHDへの理解と対応」