2017.08.13
帰り際の“かんしゃく”どうすれば…?子どもの『切り替える力』を育てるコツ
これが大事!“見通し”と“予告”を見える化してみる
Photo/Melpomene/ShutterStock
毎回のパニックが定番化しているお子さんに試してもらいたいことがあります。それは、“見通し”と“予告”によって、“楽しい時間は永遠に続くわけではない”ことを、事前に確認しておくことです。
具体的に順を追って説明します。
1.出発前に見通しを“絵”にして説明
子どもは、「公園に行くよ」と言ったら最後、さっさとリュックを持ってきて、玄関の靴のところで待っているかもしれませんね。
頭は公園のことしかありません。行きはいそいそと歩くかもしれませんが、帰り道に疲れて眠くなり、家まで歩かなくてはいけないことなんて少しも想像しません。そうなる前に、今日の予定を確認します。
ここで大切なのが、“言葉だけでは消えていく”ということ。
まだまだ言葉の理解も記憶も未熟な子ども相手に、「言ったじゃない!」とあとで言っても仕方ありません。子どもがわかるレベルで伝えるには、写真か絵を使うとわかりやすいかもしれません。
歩く(自転車)→公園→スーパー→歩く(自転車)→家→テレビ→夕食
という、子どもがパニックを起こしそうなことの前後を含めた予定表を時系列に沿って絵で示し、言葉やジェスチャーとともに、親子で確認することで、子どもにまず見通しをもたせます。
この時点で子どもは、“公園は永遠ではない”ことを落ち着いた状態で知ることができます。
そして、例えば公園のあとのスーパーに、好きなお菓子の絵を1つ描いておく、テレビのところに、大好きなワンワンの絵を描いておく、夕食に大好きなメニューを描いておくなどすると、公園が終わったあとの楽しみも確認することができます。
時計が読める子どもには、現在、公園を出る時間、テレビや夕食の時間などの時計の絵と針を書いておけるとさらに具体的になります。これが出発前の準備です。
2.遊ぶ前にもう1度確認
さあ、公園につきました。自由に遊ばせる前にもうひと手間。
先ほど一緒に確認した予定表を、もう1回親子で見てみましょう。遊びたくてしょうがない子どもに、1から確認する必要はありません。ただ、「この予定表の中に自分はいて、今ココなんだよ。」という確認が大切です。
そのときにはやはり、「時計の針が6になったら帰る」というような目安も、子どもにわかる形で伝えられるとさらにいいと思います。そこまでやってから自由に遊ばせるようにしましょう。
3.帰る15分前に“予告”する
ずいぶん遊びました。帰る時間まであと15分くらいでしょうか。ここでやっていただきたいのが、“予告”です。
これまでにやった予定表の見通しや帰る時間の確認などなんのその、子どもはすっかり忘れて遊びに夢中です。それを予告することで思い出してもらいます。
そのときに気をつけたいのが、「もうあと15分で帰るよ」という追い詰め方式にしないで、「(帰る時間は近づいているけれど)あと15分も遊べるよ! がんばって!」というような励まし応援方式で予告することです。
大人にとっては同じ15分ですが、子どもにとっては、もうすぐ遊べなくなるお知らせより、まだ遊べるお知らせの方がうれしいですよね。
そしてまた終了5分前に声をかけます。もしママが声をかけたことで、子どもが「もう15分たって終わりか」と思ったり、時計を見たりしたなら、その子にはずいぶん予告が効いているようです。
ママが、「まだ5分遊べるよ!」「帰る時間覚えていてすごいね!」など前向きな声かけをしてあげれば、5分後の未来はかなり明るい希望がもてるでしょう。
最後は次の楽しみを小出しに“切り替え”へ
Photo/Littlekidmoment/ShutterStock
ここまで見通しの中で遊び、予告もして、子どもの心の準備は徐々に整ってきているはずです。
もしここで、自分で遊びをやめてママのところに戻ってこられる子どもがいたならば、大絶賛! スーパーのお菓子をもう1つ奮発したいところですが、そう簡単にはいかないでしょう。
「時間だよ~」と明るく告げましょう。そして、予定表を見せて、今ココを確認。時計の文字盤も同じであること確認できるといいかもしれません。
そしてさらりと次の予定の話題へ。「スーパーで何買う?」「今日は泣かないで公園とバイバイできたから、ご褒美に〇〇買おうか?」と、目で確認させながら、言葉で巧みに切り替えを断行します。
子どもの心が次の方向へ移ってきているようなら、すかさずホメホメ作戦。「すごい! お兄ちゃんだね」「かっこいい~!」「こんなに上手に帰れるならまた来ようね!」など、子どもが、“できた”と思えるような声かけをしたいものです。