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子ども

2016.02.11

川崎と横浜は変わる!給食がない公立中学校の事情と今後の展望

川崎と横浜は変わる!給食がない公立中学校の事情と今後の展望

「義務教育中は給食があるのは当然」だと考えているママは多いのではないでしょうか。実は、意外にも大阪府と神奈川県は、給食のない公立中学校の方が多いのです。そこで、給食のない公立中学校に焦点をあてて、その理由や今後の展望を調べました。

大阪府と神奈川県は、給食がない公立中学校の方が多い

総務省 統計

※総務省 統計局データをもとに作成

総務省統計局のデータによると、公立中学校で給食を実施している県(平成25年)は、全国の平均値は86%であるのに対して、大阪府は43.2%、神奈川県は25%と突出して低いことがわかります。とはいえ平成20年の調査では、大阪府は7.7%、神奈川県は16.2%でしたので、この5年間で給食の公立中学校は増加しています。

関東では、神奈川県以外の都県はいずれも97%~100%と高い給食の実施率なので、なぜ神奈川県だけが低い率なのが気になります。神奈川県が発表している「神奈川県内の学校給食実施状況 平成26年度版」によると、横浜市・川崎市・鎌倉市・藤沢市・茅ヶ崎市・逗子市・厚木市・大和市・海老名市・南足柄市・綾瀬市など、多くの市で公立中学校の完全給食がありません

ママたちの悲鳴と苦労

給食 ママ

中学生のお弁当を作るとなると、特に男の子は食べ盛りなので、量も数も多く作らなければなりません。筆者は母の『茶色い』色合いのお弁当を、蓋でコソコソ隠しながら食べているような中学生でしたので、我が子には彩りも考えて作ってあげたいと思っています。

部活の朝練がある場合は、ママは”5時半起き”で作らなければならないという声も。フルタイムの仕事をしながら中学生のお弁当作りをこなすのは、大変なことだと伺えます。さらに学校には冷蔵庫などのお弁当の保管場所もないので、夏場は保冷材などを利用するなど、「食中毒対策に気を使う」という声もありました。

給食になれば、これらのママの苦労が解消するだけでなく、恵まれない家庭環境のお子さんもお腹いっぱいお昼ご飯が食べられるメリットがあります。

給食導入には莫大な予算が必要

神奈川県の場合、急激に人口が増加した昭和40年以降、学校建設を最優先で行ったものの、中学校の給食導入を先導するリーダーがいなかったため、そのまま現在に至ってしまったという背景があります。横浜市の場合、『給食センター』をつくらずに各中学校が給食を調理する場合、初年度262億8000万円の運営経費ほか、諸経費込みで322億2000万円が必要になるそうです。

一方で『給食センター』で給食を一括で調理する場合は、東京都稲城市を例にすると、建設費用8憶3000万円、年間費用2400万円のセンターを2棟建設すれば、小学校11校、中学校6校分をまかなえるとのこと。どちらの調理方式を採用するにしても、実施には膨大な予算が必要になるため、教育委員会レベルでは実行できない現状があります。

神奈川県の今後の見通しと課題

横浜市は、給食を希望する声にこたえ、平成28年度中に公立中学校全校で「栄養バランスのとれた温もりのある昼食(横浜型配達弁当(仮称))」の実施をすることを目指して現在取り組んでいます。実現すれば、事前に「ごはん・おかずのみ」、「汁もののみ」、「牛乳のみ」といった注文を予約できるようになります。事情により当日お弁当が用意できなかった生徒に向けては、当日注文ができる「業者弁当」も選べるように配慮も。川崎市は、平成28年度に公立中学校に給食を導入することが決まり、現在その準備を進めています。

平成28年度は、横浜市と川崎市が公立中学校の『給食導入』や『配達弁当実施』という新しい取り組みをスタートします。この動きは、これまで公立中学校の給食を実施してこなかった他の市町村にも影響を与えることになるかもしれないので、今後も注目していきたいと思います。

学校給食については、総合的に見てメリットの方が多いと思いますが、家庭でもバランスを考えた手作り料理の大切さを子どもに教えていきたいですね。

参照/ 総務省統計局「平成25年度 学校給食実施状況調査」
神奈川県「神奈川県内の学校給食実施状況 平成26年度版」
横浜市教育委員会
川崎市教育委員会「中学校給食実施に向けた取組について」

しみず

しみず

都内の大学を卒業後、青果物業界・金融業界勤務を経て、2010年に男の子を出産しました。現在は、子育ての経験を活かしながらライターをしています。健康オタクで、衣食住はできる...

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