2016.06.09
その人見知り、じつは社会不安障害(SAD)かも!?
“自分はちょっと人見知り”と思っている人は少なくはないと思います。初対面の人が苦手、とか新しい環境になじみにくいというのはよくある話ですが、これが生活に支障をきたしてしまうほど重症だとそれは『社会不安障害』かもしれません。
社会不安障害は大人になってからわかることも…
中学校の授業で朗読がうまく読めなかったことがきっかけで、極度の緊張や人見知りに悩まされてきたAさんという女性。結婚して子どもが生まれましたが、その子が保育園に通うようになると状況はさらに深刻な状態になりました。
保育園の送迎や父母の役員会などでは口元や手足が震えるようになり、苦痛に耐えかねて病院を受診した結果『社会不安障害』と診断されました。
診断するポイントは4つ!社会不安障害チェックリスト
自分が社会不安障害かどうかを診断するポイントはいくつかありますが、以下の4つのすべてが当てはまる場合にはその可能性が高いと思われます。
- 人前での発言など注目を浴びるシチュエーションが苦手。
- グループ活動への参加や、会議や宴会に遅れて参加することを苦痛に感じる。
- 失敗などの経験から人前で恥をかくことによって、人から否定的な評価をされることが怖い。
- 以上3つの恐怖心が度を越しており、こういった状況を避けるために生活に支障をきたしてしまったり、ひどくつらいと感じる状況が半年以上続いている。
これらすべての項目が『はい』であれば、社会不安障害の可能性が高くなります。
原因は脳の働きにあった!メカニズムと対策法
『千葉大学 子どものこころの発達教育研究センター』の平野好幸さんの研究に、普通・怒っている・恐れている・笑っている、の4種類の表情の顔写真を見たときの脳の反応をMRIで測定したものがあります。
健康な人の脳では『扁桃体』という危険を察知する部分が『怒っている表情』のみに反応したのに対して、社会不安障害の人の脳ではすべての表情に強い反応を示したというデータがあります。つまり、社会不安障害は脳の働きによって引き起こされているということです。
治療法としては、『ビデオフィードバック』という方法があります。社会不安障害の人は、「自分は他人より劣っていると思われているのではないか」という思い込みが強い傾向にあることから、ビデオで自分の姿を撮り客観的に見ることによって、「自分が思うほど変ではない」ということに気づくという取り組みです。
また、『認知行動療法』と治療法もあります。社会不安障害の人は「他人からどう思われているか」ということを非常に気にする傾向があり、自分のことばかりに注意してしまいがちですが、訓練によってその注意を相手の顔や周辺に向けるようにするというものです。それによって、不安や緊張感を取り除くことができます。
自分は人見知りだと感じている人の約1割が社会不安障害といわれています。それだけ私たちにとって身近なものということ。単なる『あがり症』や『人見知り』で済ませてしまうのではなく、適切な療法によって克服することも十分可能であるということを知っておくといいですね。
mamaPRESS編集部
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