2017.12.27
3~6歳で発症しやすい『チック症』!原因や治療法は?
素早いまばたきや頭・肩の動き、顔をしかめたり口を曲げたりといった動作が、本人の意思とは関係なく繰り返し現れる『チック』。一過性の場合が多いですが、慢性化したり症状が重くなったりすると『チック症』と診断されます。
幼児から小学校低学年の子供に多く見られるチック。どのような原因で起こるのか、どう対処したらいいのかについて知っておきましょう。
チックとはどんな病気?
チックには大きく、“動作性チック”と“音声チック”の2つがあります。
動作性チックとは、パチパチとした素早いまばたきを頻繁にするとか、頭や首をふる、肩や手をピクッとさせるといった動作が繰り返し現れる症状です。主に上半身に現れますが、足踏みやスキップなど全身運動を伴う運動性チックもあります。
音声チックは、咳ばらいをしたり、鼻をならしたり、「あっ」などの短い言葉を発する症状です。「死ね」「バカ」といった汚い言葉や、ひわいな言葉を繰り返し発する場合も多くあります。
どちらのチックも、本人の意思とは関係がなく、止めることができないのが特徴です。癖として捉えられてしまうこともあり、周囲に理解されないことも多くあります。
チック(チック症)になりやすいのはどんな子?
チックは3~6歳の幼児期に発症し、7~8歳ごろの学童期に発症のピークを迎えます。女の子よりも男の子に起こりやすい傾向があり、男女比は3:1ほどと言われています。
チックの原因はまだ確定していませんが、脳の中にあるドーパミン神経系の発達が関わっているのではないかと言われています。
親の育て方や親子関係に原因があるという考え方は現在否定されていますが、精神的なストレスによって症状が悪化する例は報告されています。対人関係が不器用であったり、不安やストレスの影響、緊張を受けやすかったりするデリケートな子供が発症しやすいと言えます。
チックの多くは一時的なものであったり、発達過程に応じて生じるものであったりするため、自然に症状が消えることも多々あります。しかし、1年以上症状が継続するような慢性化したチックは、チック症と呼ばれます。
重症化したチックとして、数種類の動作性チックと音声チックを同時に発症する『トゥレット症候群』という病気もあります。トゥレット症候群は、強迫性障害やADHDなどの合併症が見られることも多いことで知られています。
子供のチックはどうやって治療するの?
最も大切なのは、周囲の理解です。家族や先生などに症状を理解してもらい、チックの症状が出てもことさら気にせず、日常生活が円滑に行えるように心がけましょう。
もし、極度なストレスの原因がわかっているのであれば、それを取り除くことが必要です。できるだけリラックスできるような環境を作ってあげられるといいですね。
チックの程度が強い場合は、薬物治療を受けることもあります。症状が重くて日常生活に支障をきたしていたり、チックが原因の言動がもとで登校拒否になったりするような場合は、専門医の指示に従い治療を進めるようにしましょう。
チック症状は一過性であったり、年を重ねると軽くなったりすることが多いといわれています。適切な診断や投薬を行えば、改善に向かうことができるとされているので、気になる症状が見られたら早めに小児神経専門医や精神科などの医療機関で診療を受けるようにしましょう。
症状が現れるたびに叱ったり、無理に行動を止めさせたりすると、ストレスから症状が悪化することもあります。病気の内容を理解し、リラックスできる環境づくりを心掛けることが大切です。
PHOTO/studiolaut/Shutterstock
参照/
塚田こども医院「チック症」
gooヘルスケア「チック(チック症)の症状や原因・診断・治療方法」
医療法人社団 雅会 前田クリニック「チック症」
小児神経科医 野村芳子「チック・トゥレット症候群」
NPO法人日本トゥレット協会「トゥレット症候群とは」
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記事提供:ならいごとキッズ マガジン