2015.07.24
夏バテを防ぐためのキホンは『漢方』の知識にあった!
『漢方』と聞くと、苦~い『漢方薬』をイメージしませんか?
実は漢方というのは、中国医学をベースに日本で独自に発展したもので、食事・運動・睡眠を軸とした、自然療法のこと。
脱・ケミカルで、体内から強く、美しくなれる『漢方』は、今ブームの兆し! 漢方のキホンを身につけておくと、夏バテだって〝自然に〟防げちゃうんです!
そもそも『漢方』ってなに?
古の時代、日本は中国医学の技術を模倣し、独自の漢方文化をつくりました。
漢方では「陰と陽のバランスが崩れるときに病気になる」と考え、個々の体質や体型、抵抗力、自覚症状などに合った治療方法を見つけていきます。
心身のバランスを整え、その人が本来持っている自然治癒力を高めていくことに重点を置きます。
大事なのは『養生』をすること
病気になる一歩手前の状態を『未病』といいますが、『夏バテ』もそのひとつといえます。
漢方では、未病を防ぐための食事・運動・睡眠の方法を『養生』といい、日ごろからこの方法を生活に取り入れることで、本来人が持っているパワーを最大限に引き出せると考えています。
そしてこの『養生』の方法は、季節によって違うのです。
夏は『湿邪』と『暑邪』に注意!
人の外部環境には気候の変化などの刺激があり、『風・寒・暑・湿・燥・火』の『六気』に分けられます。
これらが過度にはたらきかけてくると邪気となり、『六淫の邪』と呼ばれるようになるのです。
夏は、陽気が1年でもっとも盛んな時期。この時期に気を付けるべき外的要因が『湿邪』と『暑邪』です。
『湿邪』は梅雨の時期に起こりやすく、脾臓を衰えさせ、冷えを感じさせたり、気のめぐりを邪魔したり、水分代謝の不調を起こします。
また、『暑邪』は熱い、のぼせるなどの症状が出やすく、体内の水分を不足させます。『湿邪』と『暑邪』が結びつくと、『暑湿』となり、夏バテや夏風邪が長引く原因となります。
夏の『養生』、ここがポイント!
①水分と無機塩を補う
汗をかいたり体温が上昇したりしたときは、体内の水分が不足するだけでなく、ナトリウムやカリウムも大量に失われています。
水分の補給は「少量をこまめに」が原則。ただし、食事中は水を飲むと消化液が薄まり、消化吸収能力が弱まるので、飲みません。
ナトリウムは塩、カリウムは豆類、昆布、卵などからとることができます。
②タンパク質を補う
高温の条件下では、体内で分解されるタンパク質の量が増加します。そのため、魚、乳製品、豆類などに含まれる良質のタンパク質をとるように心がけましょう。
③体を冷やす食べ物を多くとる
スイカ、メロン、ゴーヤ、キュウリなどは、熱をさまし、利尿作用がある食物です。体内の熱を取り除き、代謝を促進させるためにも、積極的に食事に取り入れましょう。
④殺菌作用のある食物を多くとる
夏は病原菌の活動も活発になります。特に腸を侵すウイルスが多発するため、殺菌作用のある食物(ニンニク、タマネギ、ニラなど)を多く取り入れましょう。
⑤滋養を心がける
人の陽気が盛んになるこの時期、『陰』の力は弱まります。陰を補う滋養食を多く食べることで、暑気を払う効果があります。
朝食や夕食にお粥を食べるのがおすすめです。また、梅干しや夏みかん、お酢など、酸味のあるものを口にするのもよいとされます。
さらに、脾臓のはたらきを強める食物として、トウモロコシ、ジャガイモ、カボチャ、枝豆、豆腐などがあります。
『漢方』をマスターすれば、体の声をよく聞けるようになり、不調の対処法もすぐに思いつきます。四季の漢方シリーズ、次回もおたのしみに!
文/岩﨑未来