2016.11.15
ことばの発達が遅いのは、子どもへの話しかけが足りないから?今日からできる話かけのヒント
今日からできる話しかけのコツ
では子どものことばを成長させるために、ママはどんなことに気を付けたらいいのでしょうか? 子どもに話しかけるときには、こんな点を心がけてみてください。
短く、ゆっくり、わかりやすいことばで話しかける
私たち大人は、どんな人の話なら聴きたいと思うでしょうか?
一つの文が長くて、早口で、難しい単語を並べたてる人の話を聴きたいと思うでしょうか? あまり思わないと思います。大人ですらそうなのですから、ことば初心者の子どもにとってはなおさらでしょう。
大人が外国を旅行したとき、レストランの店員さんにどのように話しかけられるとうれしいでしょうか?
その国のことばがわからない旅人に配慮して、短く、ゆっくり、わかりやすいことばで、しかも表情豊かに、ときにはジェスチャーや写真付きのメニューなどを見せながら話しかけてくれる人に出会うと、やりとりがわかりやすいですよね。
子どもに対して、大人のスピードで話しかけてしまう、子どもの理解力や記憶力を超えた長さで話しかけてしまうことは、ついやってしまいがちなことです。年上の兄弟がいる家庭では、上の子に合わせた話し方をして、下の子も理解しているだろうと思っている場合がよくあります。
子どもの理解力にもよりますが、2歳では、長くても3語文以内にまとめて話せるよう、心がけてみましょう。
子どもの気持ちに寄りそう
話しかけが大切と思いすぎて、常に子どもに話しかけている真面目なママにお会いすることがあります。もちろん話しかけは大切ですが、それにはタイミングも重要です。ママが伝えたいこと、教えたいことばと、子どもが今、ここで、関心を向けていることとは違うことがあります。
指さしの意味の理解や、共同注視(大人がある対象を見るとそれを子どもも見ること)の力が育つと、「見て」とママが言ったほうに注目することができます。しかし、その力がまだ曖昧な子どもは、ママが「ワンワンいたよ」「かわいいねー」など一生懸命話しかけていても、空を飛んでいる飛行機に注目しているかもしれません。
それよりは、子どもが見ているもの、ハッと気づいて振り返ったものなど、子どもが“なんだろう?”と興味を持ったものの名前を伝えるほうが、子どもの心に残りますよ。
擬音語、擬態語、身振りが大切
子どもが楽しくて、おもわずよく聴いてしまうような話しかけができるといいですよね。まだまだことばを話し始める前後の子どもは、聴く力も記憶する力も未熟です。そこで、擬音語や擬態語の方が、わかりやすく、しかも繰り返しが多いのでわかりやすいし言いやすいようです。
「オテテヲオミズデアラオウネ」と、たくさんの音を聞いてイメージするより、「オミズ、ジャージャー」「オテテ、ゴシゴシ」の方が、集中して聴くことができます。
また、身振りをあわせて使うことは、子どもの注目を向けることができる、聴いた瞬間に消えていく言葉を補える、言葉の意味をよりわかりやすく視覚的に示す、などの効果があり有効です。
否定しないで受け止める
「待ちに待ったことばがでてきた!」と喜んだのもつかの間、今度は言い間違いが気になってしまうママもいるようです。
動物を見れば、犬でも猫でも象でも「ワンワン」、りんごは「ゴ」、バナナは「バ」。つい「違うよ。あれはニャーニャー、ネコ。」「ネコって言ってごらん。」、「ゴじゃなくて、リ・ン・ゴ!」と教えたくなってしまうかもしれません。
でもちょっと待ってください。せっかくママに伝えたくて発したことが否定されてしまったら、次から話す意欲が弱くなってしまうかもしれません。ここは否定せずに、「そうね」と一旦受け止めたうえで、「ニャーニャーだね。」「そうだね、りんごだね。」と正しいことばをゆっくりはっきりと、聴かせてあげてください。
否定せずに正しいことばを伝えていくことで、徐々にことばのカテゴリの引き出しが整理、分類されていきますし、発音の力や、音を記憶する力も成長していきます。
ことばとは、一生付き合っていくものです。だからこそ、今はその土台をしっかりと作るとき。話しことばだけにとらわれず、子どもの心に寄り添い、“ママとのコミュニケーションが楽しい”と思えるような話しかけをしていきたいものです。
参照/「子どもの発達に合わせたお母さんの語りかけ」中川信子著 PHP研究所