2017.01.15
4歳から起こる劇的な変化!『心の理論』を知ると、子どもの行動にイライラしなくなるかも
『心の理論』の子育てへの活かし方
では、心の理論をまだ通過していないと思われる子どもに対して、どのように接したらよいのでしょうか?
子どもがおもちゃを取られ、相手を叩いてしまった場合
「叩かれたらどんな気持ち? 嫌でしょう? だからお友だちのことも叩かないの!」なんて言ってしまいそうですが、他人の視点のない子どもには、“ママは怒ってる”ということしか伝わらないかもしれません。
「おもちゃを取られてびっくりしたんだね。今度から叩かないでやめてって言おうね。一緒にごめんねしようか。」といったような、相手の心を理解させようとするよりも、まずは“子ども自身の気持ちに気づかせ、どうすれば良いのかを伝える”ような言葉かけをしてみてください。
マンションなどの部屋の中で何度言っても飛び跳ねてしまう子の場合
「下の階の人が迷惑でしょう!」と叱ってしまいがちですが、4歳未満のまだまだ他人の視点を持っていない子どもにとっては、何を言われているのか理解できません。また飛び跳ね、注意されることの繰り返しとなります。
それよりは、“跳ねていいのは公園と児童館、家の中では跳ねない”というルールを繰り返し伝えながら、家の中で跳ねていないときにはすかさず褒め、公園に行ったときは思いきり遊ばせる方が、ぐっと伝わりやすくなります。
徐々に人の視点を知り始めている子どもには、お互い穏やかな気持ちのタイミングで(実際に飛び跳ねている場面や叱っている場面では言葉がなかなか伝わらない)、「この部屋の下は何があると思う?」「下に住んでる人は、天井がドンドンっていってたらどういう気持ちかな?」と子どものわかる言葉でイメージをさせていく、気づかせていくような言葉かけが良いのではないかと思います。
子どもにイライラしたときには『心の理論』を思い出して!
「そんな言葉かけをいちいちやっていられない!」と思うママもいるかもしれません。当然です! することはたくさんありますし、ママだって人間ですから余裕がなくなればイライラもします。
ただ、「この子、私をイライラさせるためにわざとやってんの?」と思うよりも、“知らないから、わからないからやっている”という目で見てみると、イライラの度合いや言葉かけが変わってくるかもしれません。
逆に、“悪いことをすると普段は忙しいママが飛んできて、たとえ怒っていても相手をしてくれるからわざとしてしまう”というパターンもあるかもしれません。それなら、適切な行動を伝えていき、それができているときに褒めてあげたほう、ママも子どももお互いにいいですよね。
『育児とは育自』とはよく言ったものだと思います。子育てを通して今までの自分の習慣を変えざるをえなかったり、自己嫌悪におちいったり、 ほかのママが立派に見えたり。それでもなんでも、目の前の子どもに向き合って、試行錯誤していく中で子どもの心も親の心も日々たくましく育っていきたいですよね。
お互いにがんばりましょう。
参照/
東京大学大学院 情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座「BEAT」メールマガジン「Beating」第52号
奈良教育大学 教育実践開発研究センター研究紀要 第23号 抜刷
2014年3月小学校低学年における「心の理論」の成立と 行動面・情緒面の問題に対する支援についての考察 ―第一報 小学校1年生についての検討―