2016.04.21
話題の寝かしつけ絵本『おやすみ、ロジャー』の効果を検証してみた!
最近、メディアで話題の絵本『おやすみ、ロジャー』。「読むだけで子どもがすぐ眠る、科学的効果が実証済みのまったく新しい絵本」とされていて、「子どもが10分で寝てくれた!」などと大絶賛の声ばかり聞きますが…。
実際どうなの? いったい他の絵本とどこが違うの? と疑り深い筆者が、『おやすみ、ロジャー』を徹底分析します!
『おやすみ、ロジャー』ってどんな絵本?
この絵本の主人公は、眠いのに眠れないうさぎの子、ロジャー。 ロジャーと◯◯(読み聞かせる子どもの名前)は、親切な魔法使いのあくびおじさんに会いに行き、眠くなる魔法の粉をかけてもらいます。そしておかあさんうさぎが待つ家に帰ってきて、無事に眠りにつく…簡単にいうと、こんなお話です。
物語自体には、特に他の絵本と変わったところがないように見えますが、注目すべきはその文章。実は、入眠効果がとても高い、いろいろな手法が散りばめられているんです。
たとえば…
・眠りに落ちるアファメーション効果(くりかえし自分に言い聞かせることで意識に働きかける効果)を高めるフレーズ(「すぐに眠ってしまいました」、「もう眠っちゃいそう」などという言葉)がいたるところに出てくる
・『いますぐ』(英語版では『now』)を繰り返し使うことで、常に現在に意識を戻し、眠ることだけに集中して、暗示の効果を高めることができる
・『自立訓練法』という、医療の現場でも使われているセルフリラックスの方法で、手足が重たく、体があたたかくなっていく、という様子をイメージさせる表現が出てくる
などです。また、英語を翻訳する際にも、多くの工夫がなされたとのこと。”sleep”は、”寝る”よりも”眠る”、”tired”は”疲れた”よりも”くたくた”の方が、音読したときに、より自然に物語に入っていけます。また、”ママうさぎ”ではなく”おかあさんうさぎ”にしたのは、”ママ”は破裂音なのでリラックスには向かないため、息を吐く”おかあさん”の方が、力が抜けて眠りやすいのだとか!
翻訳にも、寝かしつけ絵本として効果が高くなった理由が隠されていたんですね!
最大のポイントは5つの“読み方”にあり!
『おやすみ、ロジャー』の最大のポイントは、“読み方”です。普通の絵本のように読んでいては、その効果は発揮されません。子どもがより早く眠りにつけるような、音読のやり方のポイントをご紹介します。
ゆっくり、ゆったり読む
とにかく、ゆっくりとしたスピードで、ゆるやかなやさしい声で読むこと! これがすべてです。
読み手がリラックスすること
絵本を読むママがゆったりとした気持ちでいないと、聞いている子どももリラックスできません。早く寝かしつけたい! という気持ちがあると、子どもにも伝わっちゃうかも!
本の中の指示通りに読む
絵本の最初に書かれている『太字の箇所は、言葉や文を強調する・色文字の箇所はゆっくり、静かな声で・動作の指示に従い、【なまえ】には子どもの名前を入れて読む』という指示通りに音読します。
息を吐くことを意識して読む
息を吐くと、力が抜けてだんだんと眠たくなってきます。
子どもが布団に入って、横になった状態で読み聞かせる
この絵本には、挿絵があまりありません。子どもがいつものように絵本をのぞき込む姿勢ではなく、布団に横になって、話を聞いているだけの状態がおすすめです。
実際に試してみました
絵本の手法や読み方のポイントはわかりました。で、本当に眠るのか? 筆者が実際に、わが子に試してみました!
長男:5歳(夜、眠るのが嫌い。できれば、ずっと起きていたいと思っている)
長女:2歳(眠くなると、自分から布団に入って眠る、寝かしつけに関してはまったく手がかからない)
次女:0歳(授乳や抱っこですぐに寝る)
長女を寝かしつけるためと見せかけて、真のターゲットは、寝るのを極端に嫌がる長男! 彼は布団に入りたがらないため、すんなり布団に入った長女の隣に座り、ミニカーで遊びながら話を聞いていました。
物語がはじまると、すぐに静かになり動かなくなった長女。ものの数分で寝息が聞こえてきました。でも、彼女の場合はこれがいつもの姿なので、ここからが勝負です。できるだけゆっくり、ゆったりと音読することを心がけました。…が、なかなか寝ようとしない長男。途中で「◯◯ちゃん、寝たね!」などと報告してくれたり、「絵があんまりないねー」などと感想を述べたり。ついに、最後まで読み終わってしまいました。
別の日、今度こそ! とチャレンジしましたが、結果は×。その後も「ロジャーの本、読む?」と聞くと、「寝たくないから嫌!」と言うように…。眠るよりいつまでも遊んでいたい長男、絵本は大好きなのですが、『おやすみ、ロジャーを読む』=『眠らされる』というイメージになってしまったようで、これは失敗でした!
親の方が、「寝てほしい」と強く思っていると、やはり子どもにも伝わりますね。少し間を置いて、忘れた頃にまた読み聞かせにチャレンジしてみようと思っています。
100%効果があるわけではない、『おやすみ、ロジャー』による寝かしつけ。でも、やり方次第では、可能性は未知数だと感じました。そして何より、読んでいる私自身がすぐにうとうとしてしまい、毎回心地良い眠りに誘われてしまいました! 子どもだけでなく、大人の安眠にも一役買いそうです。
ご興味のある方は、まず図書館などで試してみて、子どもに合いそうであれば購入、というのもいいかもしれませんね!
TOP PHOTO/christinamossaad
参照/
飛鳥新社「おやすみ、ロジャー」
EhonNavi「『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』監訳者 快眠セラピスト 三橋美穂さんインタビュー」
水谷 花楓
東京の出版社で雑誌広告営業を7年間、その後、結婚して大阪に移転、リフレクソロジーの資格取得、受付嬢、社長秘書とやりたかった職種はすべてクリア!現在は、パンダで有名な和...
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