2016.01.08
ママも子どもも快適!フランスの小学校子育て事情
”子育てと仕事の両立”は、多くの働くママが抱える問題ですね。子どもが小学生になると、ママの負担はさらに増えて『小学生の壁』を感じることも。
しかし世界をみると、働くママの負担が少ない仕組みが浸透している国もあります。今回はその一例として、フランスの小学校子育て事情をご紹介します。
ママが子育てと仕事を両立しにくい日本
日本では、子どもが保育園の間は午前7時頃から午後7時頃まで預かってくれるので、ママはフルタイムで働くことができる仕組みになっています。しかし子どもが小学生になると、ママは”「子育てと仕事の両立”に壁を感じることが多くなります。
その理由としてまず、『学童保育』に子どもを預けられるのは通常午後6時までとなり、その分早めに仕事を終えなければならなくなることがあります。夏休みなどの長期休暇も学童保育を利用しますが、給食がないのでお弁当を作らなければなりません。
さらに小学校は行事が多いのも、働くママが負担を感じる理由の一つ。入学式や卒業式だけでなく、授業参観や保護者会・PTA・家庭訪問は平日に行われます。そのたびに仕事を休まなければならないのは、大変なことです。
女性の就業率85%なのに、出生率も高いフランス
出典:内閣府男女共「OECD諸国の女性(25~54歳)の就業率」
フランスの女性の就業率は85%と、70%に満たない日本に比べて働く女性が多いことがわかります。一方で1人の女性が生涯に何人の子どもを産むのかを推計した『合計特殊出生率』は、フランスは2.0と、日本の1.42よりもずっと高いのです(2014年調査結果)。
日本は出産を機に退職してしまうママが多く、経済的な面からも、たくさん子どもを産めない状況ですよね。フランスのママは一体どうやって”子育てと仕事の両立”をしているのでしょうか。
フランスの小学校事情
フランスの小学校は短縮授業がなく、1年生も午前8時30分からから午後4時30分まで授業があります。その後は、低料金で宿題をみたりして預かってくれる、補修の時間が午後6時まであります。
長期休暇は、午前8時30分から午後6時30分まで学童保育があり、給食が出るのでお弁当はいりません。
両親が共働きなのを前提にしているので、学校行事はほとんどありません。入学式もなく、1年生はホールに集合してクラス分けが発表されたあと、担任と教室に移動する仕組みになっています。ですから、特別な服を着る必要もありません。
同様に、卒業式も運動会も授業参観もありません。年2回程度の保護者会は、平日の午後6時頃から開かれ、学校開放の日やお祭りは土曜日に行われます。緊急連絡網もなく、PTAはボランティア精神のある数人が引き受ければ十分手が足りるそうです。
お金がほとんどかからないフランスの教育
フランスの教育は、金銭的にも親への負担が少ないのが特徴。まず、公立の学校の授業料は無料です。給食費は所得に応じて支払います。教科書は1年間無料で貸してもらえるので、筆記用具を購入する程度で済みます。
日本のように、指定の体操着や上履き・高級なランドセルは必要なく、かばんは「カルターブル」というナイロン製のかばんを数千円で買えば済みます。
両親を支えるフランスの労働環境
日本に比べてフランスのママが子育てしやすい背景には、労働環境が整っていることも挙げられます。法定労働時間は週35時間、年間の法定有給休暇は5週間で、残業もなく、終業時刻になればすぐに帰宅できます。
日本の場合、法定労働時間は40時間、有給休暇は最高で20日で、残業も多くて有給は全部消化しにくい雰囲気の会社が多いですよね。
また、フランスは「夫が家事や育児をすることはあたりまえだ」と考えられているので、子どもの通学や保護者会に、多くのパパが参加しています。「子育てはママの仕事」という暗黙のルールがないので、ママが外で働きやすい環境だといえます。
日本は、フランスを全部マネするわけでなくても、「働きたい」と考えているママが安心して働けるような、労働環境や小学校の仕組みが浸透していったらよいなと思います。
参考/
内閣府男女共同参画局「第1部 男女共同参画社会の形成の状況」
内閣府男女共「OECD諸国の女性(25~54歳)の就業率」
日本経済新聞「14年の合計特殊出生率1.42、9年ぶり低下 出生数は100万人」
内閣府経済社会構造研究所「フランスとドイツの家庭生活調査-フランスの出生率はなぜ高いのか-」
JETRO「人口の増加傾向続く、合計特殊出生率は2.0に回復(フランス) 」
しみず
都内の大学を卒業後、青果物業界・金融業界勤務を経て、2010年に男の子を出産しました。現在は、子育ての経験を活かしながらライターをしています。健康オタクで、衣食住はできる...
詳しくはこちら